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龍の意味 2012/12/12

李老師曰く、龍の動きで学ぶ通順とは、動きのなめらかさ自体を意味しない。どんな状態でも留まることのない途切れない運動が龍である。身体はもちろん思考においても、動きを区切って制限してはいけない。龍は完全なる自由である。」野村八戒さん訳

先日の講習会で、ひさしぶりに双換掌、回身掌をやったとき、李先生がいわれたことだ。
その直前の練習では、じつは大きな動きで練習したあと、小さな動きもやるといわれ、単換掌のコンパクト版をやった。それは、おそらく翌日の対錬を想定したの練習(僕は出られなかった)だと思うが、なるほど、と感じた。そういう意味では「実践的」(実戦的ではなく)な練習かもしれない。

が、こんどは「大きく」「自由に」である。ところが、ほんとに久しぶりにやった双換掌は、何というか、これまでに感じたことのない気持ちのよさを感じた。極端にいって、自分の周囲の空間に関しては、何も怖くないみたいな静かな高揚があって、自分の体がこれまでの限界や区切りを超えてのびやかに広がるような、まさに自由で、不思議な感じだった。
とくに途中で李先生から双撞掌のとき前後に伸ばす腕を「もっと大きく」と直されたあと、すごく気持ちが広がった感じがする。精神が高く、広くなり、自在な感じを持てたのだ。もちろん、実際に戦えるとかどういうことではない。そうではなく、李先生がいわれた龍の「神(精神?)を養う」という側面を、やっとほんの少し感じられたのかな、ということである。大げさにいえば、ね。

こいうのは、とても書くのは難しい。実際、このレベルの感覚は、主観的なもので、それ自体客観的に検証されうるものではない。自分の内部の問題だから、たんに「思い込み」である可能性を論理的には排除できない。逆に、思い込みたい人たちは、そこに何か神秘的なものを見て取りたがると思う。そういうことを考えてしまうとブログに書くことは躊躇しないでもないのだが、しかし鍛錬過程の報告と記録として残しておきたい。

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夏目 房之介

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72年マンガ家デビュー。現在マンガ・コラムニストとしてマンガ、イラスト、エッセイ、講演、TV番組などで活躍中。

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