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夏目房之介の「で?」

「もてもてナインティナイン」の手塚神話

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たまたま「もてもてナインティンナイン」(TBS)で手塚治虫をやってて、いやあ、典型的なテレビ的ホラというか、神話伝説化のステロタイプみたいでした。一体どこから情報集めたのか、あるいは誰かTVの作家が作ったのか、元になる情報はわかるけども、こうやって手塚神話は作られるんですねー。手塚が少女マンガを初めて描いたとか、擬音語をマンガに使ったとか、少し知ってればすぐにわかるものから、こまかいところで大げさにしてるものまで。「これが初めて」という「わかりやすさ」を提供しようとする起源神話作りにあわせて情報が歪曲されたり、「すごさ」「極端さ」を強調するために部分的に変えたり曖昧にしたり。「テレビ的」に見栄えよくするという至上命題の前で、情報が歪んでゆくサマが見て取れて興味深いものでした。『ブラックジャック』が『ゴルゴ13』のキャラクター特性を利用したものだとの説は、あるいは僕の「殺し屋」スタイルの援用説のバリエーションで、ひょっとしたらネットでそんなふうに変化してるのかもしれない。テレビのネタ作りって、多分今はネット情報に頼っていると思うので、そういうのはありうる。つまり、同じような番組で流しているほかの人物の情報も、同様に歪曲されてると考えるべきで、知らないとけっこうそのまま受け取ってることも多いので、気をつけないとね。

追伸

ミクシ見てたら、出演した手塚るみ子さんは「つっこまれますよ」と忠告したようです。まあ、それはそうでしょうね。でも、バラエティですからねー。僕でも、それ以上はいわないと思う。ヤボっちゃあ、ヤボだからね。ほとんどの人はバラエティだからと話半分で聞いている気もするし。でも、バラエティだから何をやってもいい、という雰囲気がおそらく現場にもあって、とどめがなくなる可能性っていうのもあるだろうとは思います。

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