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数年前に、ナスダック上場の某CRMベンダに勤務していたときのことです。セールスのキックオフと表彰式に出席するために、私もバンクーバーへと飛びました。
表彰式はなんと、山の上にあるレストラン。ケーブルカーでの移動です。皆、タキシードまたはドレスという正装。
バーで「ビール」というと「氷を入れますか?」との意味不明なバーテン。でも、入れてもらうと、氷が点滅しています。よく見ると、会社のロゴ入りのプラスチック。電飾が輝く飾りでした。
着席式の表彰式会場に入ると、「鶏肉の焼き具合はどうしましょうね?」と話しかけてくるウェイトレス。手に乗った盆には、ゴムで出来たニワトリが。「え??、これ、偽物ですよね???」わけがわからず、しどろもどろになって返す私。
次に座席の近くに寄って来たウェイトレスは、何故かDavid Lee Rothの歌を口ずさんでいます。あれ?どうして私の好きな歌知ってるの???
そうです、すべては、イベントの演出だったのでした。
そのイベントの仕掛けは、元はそのCRMベンダーに勤務していた30代のマーケティング担当者の女性が独立し、請け負ったものでした。おもしろい演出をするために、事前にアンケートを取り、好きな歌手や趣味などを記入して提出していました。
そのほか、真面目なセミナー部分もうまく工夫されたイベントでした。
海外ではうまく取り入られている楽しい演出を、もっと日本で開催されるイベントにも取り入れることができたら楽しそうだなと思っています。すでにいろいろ工夫されている会社もあるかとは思いますが、エンタープライズ系の製品を扱う企業はもっと真面目な固いイメージがあるように思います。
既存顧客と社員と、販売代理店のために。だそうです。
これは、あるソフトウェア会社の社長さんが以前おっしゃっていたことです。
「加藤さん、なぜうちみたいな中堅規模の会社が、新聞に15段広告(1つのページ全部)を打つのか、そのお金の使い方は無駄じゃないのか、と思っているんじゃないでしょうか?そういう見方もあると思います。それは十分承知です。
この広告のターゲットは、既存顧客と、社員と、販売代理店向けなのです。『私の使っている/私が勤務している会社の/私が販売している ソフトウェアを売っている会社がこんなに大きな広告を出している。この製品を選んでよかった、ビジネスもちゃんとうまくいっていそうだ』みたいに思ってもらい、カスタマーリテンション(顧客維持)/社員維持/販売代理店維持の目的を達成するのです」
一般的に新規顧客を獲得するよりも、既存顧客を維持するほうが易しく、コストがかからないと言われます(1:5の法則など)
外資系のセールス担当者は、「新規を取らないと、ボーナスが出ません。既存顧客にアップセル、クロスセルを行っても、当社では成績に反映されないのです。それでは、表彰されません」ということで、新規獲得ばかりに目が行きがちです。
会社もそちらに注目しがちで、「既存顧客を集めてセミナーと懇親会をやる金があれば、新規獲得のために、まだ買ったことない人だけ集めて、大規模イベントをやろう」というケースもあります。しかもそのイベントは「既存顧客のご参加はご遠慮ください」などと書かれていたりして・・・。自分たちが選んだ製品が正しいのか、今後のロードマップは?会社の戦略は?一番知りたいのはすでに選択した人たち(既存顧客)ではないでしょうか?
広告がカスタマリテンションにどの程度効いているのか、定量的なデータはありませんが、既存顧客のことをもっと考えられるようにしていきたいものです。
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