シロクマ日報:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) シロクマ日報

決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

« 2006年5月9日

2006年5月10日の投稿

2006年5月11日 »

最近読んだ本『メディチ・インパクト』では、異なる学問/ビジネスの分野が交わるところから全く新しいイノベーションが生まれることが描かれ、それを「交差点イノベーション」と呼んでいました。「交差点イノベーション」は確かに説得力のある概念で、「昆虫学×電気通信」(アリが効率的にエサを見つける仕組みを、通信網のルーティングに応用する)のように専門知識同士を組み合わせるものでなくても、日常生活のなかで応用できるアドバイスであるように思います。

例えば先日の日経ビジネス(2006年5月1日号)に、「自由に、しなやかに 『家』をプランする楽しみ」という広告企画が掲載されています。住宅に関する記事だったのですが、そこに掲げられていたイラスト(100ページ)にふと目がとまりました:

「仕事や趣味、子供の勉強など、家族が集まって多目的に利用できる、リビングの一角に設けられたコーナー。」

という説明書きが添えられたものです。イラスト自体は、大きな事務机にイスが数個並べられているというものだったのですが、これを目にしたときにふと「家庭内フリーアドレス」という言葉が頭に浮かびました。

親子間のコミュニケーション不足は、古くて新しい問題です。僕の父親(小学校教師)の話を聞くと、さらに深刻化しているような恐れすら感じます。仮に家族のメンバー=会社員と捉えれば、企業内におけるコミュニケーション不足解消法の1つである「フリーアドレス」を導入してみることが考えられるのではないでしょうか。と言っても「書斎」や「子供部屋」といったプライベートなスペースを無くしてしまうのではなく、日経の広告記事にあったように、作業(勉強/仕事)のためのスペースを共用にするといったイメージです。

僕の父は小学校の先生だった(現非常勤講師)わけですが、あまり勉強を教わった記憶はありません。逆に父が自分の部屋で採点や通信簿の作成などをしていると、近寄りがたい雰囲気があったことを覚えています。そんなとき、もし自由に出入りできる空間に作業用のフリースペースがあり、何か作業をするときはそこに集まる習慣があれば、自然にコミュニケーションが生まれていたのではないでしょうか。そう簡単に解決する問題ではない、とは思いますが、企業で進んでいるフリーアドレスの研究成果を家庭に持ち込んでみても面白いのではないでしょうか。

また同じ発想を、地域社会に持ち込むとどうなるでしょうか。これは既に行われていると聞いたことがありますが、SOHO用の共有スペースを地域社会の中に設け、異業種間での人々の交流を促進するということが考えられるのではないでしょうか。また逆の方向性を考えて、町おこし・村おこしといった地域活性化に関する研究成果が、企業内コミュニケーションでも生かせる部分があるかもしれません。

いずれにしても、普通の人が普通に行っている2つの分野---社会人としての生活と、家庭人としての生活---をまじあわせ、そこに生まれた交差点に立ってみるだけでも、さまざまな新しいアイデアが生まれてくるのではないでしょうか。「交差させられるほどの専門知識を持っていない」という思いを持つ人は多いと思いますが(僕は強くそう感じます)、意外とこの「交差点イノベーション」は身近なものではないかと思います。

アキヒト

« 2006年5月9日

2006年5月10日の投稿

2006年5月11日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

小林啓倫

小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
akihito
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ