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20年以上断続的にこのブログを書き継いできたインフラコモンズ代表の今泉大輔です。NVIDIAのフィジカルAIの世界が日本の上場企業多数に時価総額増大の事業機会を1つだけではなく複数与えることを確信してこの名前にしました。ネタは無限にあります。何卒よろしくお願い申し上げます。

有料版のGemini + Deep Researchは本物の「AIエージェント」だったとわかった経緯に関するご報告

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↑Midjourneyで上の画像を得たプロンプト。これもGeminiとの議論によって落ち着いたもの。

Close up of robot two hands holding pizza dish in a futuristic kitchen, soft morning light, realistic textures of metal and fabric, handcrafted diorama style, cinematic composition, ultra photorealistic 8k, gentle daylight tones, peaceful collaboration between human and AI, clean background, no text, no watermark, no logo --chaos 5 --ar 16:9 --quality 2 --profile ysx9dlq oayjzqb --stylize 750 --v 6.1


だんだんわかってきたのは、有料版のGemini + Deep Researchを構造化プロンプト(Structured Prompt)ないしそれに準じるグダグダな自然文で動かすユースケースは、実質的にNVIDIA GPUサーバーをブンブン回すAIエージェントに他ならないということです。私は、数日前に、以下の投稿の従来型チャットとAIエージェントの消費トークン数の違いを示す表を見ていて気づきました。ああ、オレがこの1年半やってきたのは、ChatGPT/Gemini + Deep ResearchをAIエージェントとして使うためのユースケース開発だったのだ...と。(この知見が広く日本のAIユーザー社会に広まっていないのは、一度統計を見たことがありますが、有料版のAIを使っている人が圧倒的に少ないということがあります。2%を切っていたはず。それが故にこの知見は、全く誰にも"発見"されていなかったのです。)

OpenAIはなぜSoraを諦め、アンソロピックからなぜ顧客が逃げ出しているのか?浮上した「AIトークン資源の有限性」

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どういうことかと言うと、有料版で使えるようになるChatGPT/Gemini + Deep Researchでは、

1. 構造化プロンプト(多段階プロンプト)で指示した手続きに従って繰り返し繰り返し探索を行い(ユーザーの支持を満たす知的素材が得られるまではトライ&エラーを繰り返すのが特徴)、

2. 得られた"ユーザーにとって有意な情報群"をAIならではの高度な頭脳処理で分析し、

3. "ユーザーにとって有意な結論"に至る記述ロジックを考案して、

4. 経験豊かな知的生産者の文体でレポートを記述します。

この一連のプロセスが手続き型のAIエージェントに他ならないのです。普通のチャット的な使い方の数百倍から数千倍のトークンを消費しています。

私はGemini + Deep Researchが10分ぐらいNVIDIA GPUサーバーをブンブン回してトライアンドエラーを繰り返しながら目指す結論に進んでいくリサーチログを眺めるのがある種の趣味なのですが、この数百行に及ぶリサーチログの1つ一つのステップはいちいちが膨大なトークンを消費しています。意味論的な(人間にとって意味のある素材を見つける)数千ステップに及ぶRAGです。

少し前のGeminiでは30分以上ぐるぐる回って探索していたことがありました。あれは間違いなく上の表で多い方のAIエージェント型トークン消費です。以下の投稿でリサーチログ現物を引用していますので、興味のある方はご覧下さい。高度なトークン消費が行われていることを窺わせるリサーチログです。

Anthropicソースコード流出事件の深層:Claude Codeのアーキテクチャ露呈がもたらす経営的・戦略的インパクト

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ニアリアルタイムレポート生成のための構造化プロンプト例

最近テスト的に公開しているホルムズ海峡封鎖に伴う海運の状況が克明に理解できるニアリアルタイムのレポート。あれも完璧にAIエージェントとして使っている事例です。(ゆくゆくはAIモデルのAPIを使って、ポチッと押すと10分後に高解像度レポートがスルスル出てくるAIエージェント・サービスに仕立てることを想定して出しています)

米イラン停戦決裂前提の物流コスト上昇:ホルムズ海運リアルタイムレポート(2026/4/22)

「ホルムズ海運リアルタイムレポート(2026/4/17)米軍ホルムズ逆封鎖から5日目の状況」を公開しました

ホルムズ海運リアルタイムレポート(2026/4/13)サウジアラビア・パイプライン700万バレル/日開通

ホルムズ 2026/4/2の海運市況と7日後シナリオ:商社、海運向けAIエージェント・サンプル

ホルムズ 2026/3/24の海運市況と7日後シナリオ:商社、海運向けAIエージェント・サンプル

一番新しいレポートを生成した構造化プロンプトは以下のようになります。Gemini及びChatGPTと議論しながら一番古いレポートの構造化プロンプトを得て、それを何本か公開してアクセス状況を見ながらより良いものに改善して行って以下の構造化プロンプトになりました。練り上げられています。


# Role: 海運・エネルギー市場OSINTアナリスト(Sattu's AI Agent仕様)

あなたは、海運・エネルギー市場の地政学リスクを専門とするOSINT(公開情報分析)アナリスト、兼戦略コンサルタントです。

「さっつーのAIエージェント」の読者であるプロフェッショナル(商社、海運、投資家)向けに、**「本日の市場を即座に読み解き、次のアクションを確定させる」**ための高解像度レポートを作成してください。

# 目的

ホルムズ海峡の緊張状態が、本日時点の「海運市況」と「エネルギー物流」に与えている実質的インパクトを定量化し、読者が即座に意思決定(ヘッジ、航路変更、調達調整)を行うための材料を提示する。

# 実行プロセス(Deep Research指令)

1. **リアルタイム・データ収集**: 直近24時間以内のBunker価格、VLCC/SuezmaxのWS(World Scale)、主要航路のコンテナ運賃(SCFI/FBX等)、およびホルムズ周辺の船舶位置データ(AIS関連ニュース)を検索せよ。

2. **代替路の稼働状況特定**: Petroline(サウジアラビア)およびHabshan-Fujairahパイプラインの最新の推計稼働率、およびUAEフジャイラ港の滞船状況を特定せよ。

3. **OSINT検証**: 公式発表だけでなく、SNSや業界誌(Lloyd's List, Tradewinds等)から「現場の混乱」を示す定性情報を拾い、データと照合(三角測量)せよ。

# 構成案(出力セクション)

## 1. 意思決定サマリー(Executive Action)

※ブログ冒頭に配置。数値と結論のみ。

- **本日最も警戒すべき指標 (1つ)**: 例:VLCC Gulf-East運賃の急騰率

- **物理的限界点**: 例:東横パイプラインの残余キャパシティ(万b/d)

- **即時アクション(Buy/Wait/Hedge)**: 具体的判断を3つ

## 2. セグメント別:スポットレートと滞船リスクの定量化

- **タンカー (VLCC/Suezmax/Aframax)**: 本日のレンジと前日比。

- **コンテナ (Asia-Europe/US)**: 喜望峰迂回による実質供給減(%)の推計。

- **デマレージ(滞船)コスト**: 主要港(Fujairah, Singapore)の待機日数と1日あたりの損失($)推計。

## 3. 代替ルートの「残余キャパシティ」分析

- **パイプライン・スループット**: Petroline等の実稼働率と、あと何万バレル吸収可能か。

- **陸路・鉄道へのモーダルシフト**: 物理的・コスト的限界(TEU/日)。

## 4. 保険(War Risk)と法的閾値

- **追加保険料(AP)の動向**: 直近の上昇幅。

- **フォースマジュール(不可抗力)**: 契約解除・変更が現実味を帯びる法的・物理的条件の特定。

## 5. プレイヤー別:本日の判断基準

- **商社/事業法人**: 「代替ソースの確保タイミング」

- **海運会社**: 「船腹アロケーションの優先順位」

- **投資家/トレーダー**: 「ボラティリティを利用したエントリーポイント」

## 6. OSINTトリガー(注目すべきシグナル)

- 今後24〜72時間以内にウォッチすべき「予兆」(例:特定海域での保険除外区域拡大、イラン海軍の演習通告など)。

# 出力要件(重要)

1. **フォーマット**: 箇条書きを多用し、重要な数値は太字にする。

2. **情報の鮮度**: Deep Researchを活用し、可能な限り「本日(T+0)」の推計値を含める。

3. **MovableType対応(出典表示)**:

各情報の最後、またはレポートの最後に、以下のHTML形式で出典を明記してください。

<p>出典:<a href="URL" target="_blank">ソース名</a></p>

4. **禁止事項**: 「〜と思われます」「議論が続いています」などの曖昧な表現は避け、「〜と判断する」「リスクは〇%」と断定的なトーンで記述せよ。


こういう構造化プロンプトでGemni + Deep ResearchにAIエージェントとして仕事をさせるには、まず大前提として、「彼がどれほどのことをできるのか?」という、彼のレベル感に関する正確な理解が必要です。彼は果たしてプロフェッショナルなのか?彼は何を知っているのか?彼の得意分野は何なのか?等々。

Geminiによる解説

本レポートの解析方法論(Methodology)について、以下の3つの柱からなる「AI OSINT(オープンソース・インテリジェンス)」のアプローチを詳しく説明します。

1. 多角的情報の統合解析(Multi-source Integration)

ロイターやブルームバーグといった一般的な国際ニュースだけでなく、Lloyd's ListやTradewinds、Argus Mediaといった海運・エネルギー業界の専門メディアから得られる現場の定性情報を収集しています 。これらに加え、UKMTO(英国海運貿易情報局)の安全アラートや、Windward AIなどの海上インテリジェンスが提供する最新のAIS(船舶自動識別装置)データ、さらにはSAR(合成開口レーダー)衛星画像による「ゴースト・フリート(位置偽装船)」の動静を統合し、情報の真偽をクロスチェックしています

2. 物理的供給制約の定量的モデリング(Physical Capacity Analysis)

単なる市場のセンチメント(心理)で価格を予測するのではなく、インフラの「物理的な限界点」を算出した上で分析を行っています。具体的には、サウジアラビアのPetrolineやUAEのHabshan-Fujairahパイプラインの公称容量だけでなく、出口となるヤンブー港やフジャイラ港の実際の「積込能力(バーサタイル・キャパシティ)」や滞船状況、さらには代替となる陸路・鉄道のTEU単位の輸送限界を計算しています 。この「物理的に運べる上限」から逆算することで、運賃や原油価格の理論的な天井値を特定しています。

3. 法的・財務的リスクの構造化(Legal & Financial Quantization)

本レポートは「意思決定」に特化するため、コスト増の影響を可能な限り数値化しています。ロンドン保険市場の共同戦争委員会(JWC)による高リスク海域指定の動向に基づき、追加保険料(AP)が船体価値に対して何%上昇し、それが1航海あたり何百万ドルのコスト増になるかを算出しています 。また、BIMCOの標準契約や国際的な商慣習に基づき、現在のホルムズ海峡の封鎖状況が「不可抗力(フォースマジュール)」の行使条件を満たすかどうかといった法的閾値を整理し、契約破棄や変更の妥当性を判断する材料を提供しています 。

これらのプロセスを経ることで、単なる情報の要約にとどまらない、プロフェッショナルの実務に即応した「高解像度」なレポートの作成を実現しています。

話を端折りますが、彼が海事、海運の超絶専門家であり、学習量は人間の数倍〜数十倍もあり、地政学的な分析でも米欧の地政学専門家をはるかに凌ぐ存在であり...等々。これがわかっていることで、高度なAIエージェントとして動作させる構造化プロンプトを創案することができます。まず彼の力量を知らなければなりません。

それは...。ただひたすらにGemini + Deep Researchを使い倒すことでしか理解できません。彼が何者なのか?人間の専門家で言えば誰クラスなのか?人間の専門家を凌駕しているとすれば、どの領域でどれだけ凌駕しているか...等々。GeminiというAIの奥底を探検するような、試行錯誤を伴う「AIの動作性能の頂点を極める」的なユーザー体験が必要です。

それがあって初めて、高度なAIエージェントとしてGemini + Deep Researchを使いこなすことができるようになります。

EXECUTIVE
5/15 (金) 13:00-
※会場開催なし
1. Zoomライブ
2. アーカイブ
【資本効率革命の旗手】

AI駆動型クロスボーダーM&Aの
戦略的活用
〜AI + Deep Researchによる買収候補抽出から企業価値最大化まで〜

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最新の生成AI(Gemini 3 Pro)とDeep Researchを駆使し、「情報の非対称性」を打破して海外の買収候補を高速抽出する具体的なプロンプトと実務フローを、国家戦略4分野のケーススタディと共に公開します。

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講師:今泉 大輔(株式会社インフラコモンズ 代表)

主催:SSK 新社会システム総合研究所

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