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20年以上断続的にこのブログを書き継いできたインフラコモンズ代表の今泉大輔です。NVIDIAのフィジカルAIの世界が日本の上場企業多数に時価総額増大の事業機会を1つだけではなく複数与えることを確信してこの名前にしました。ネタは無限にあります。何卒よろしくお願い申し上げます。

草の根的に始めるヒト型ロボ開発プロジェクトにピッタリのオープンソースキットBerkeley Humanoid Lite

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YouTube: Berkeley Humanoid Lite: An Open source, Accessible, and Customizable 3D printed Humanoid Robot.

Berkely(カリフォルニア大学バークレー校)のオープンソースのヒューマノイド(ヒト型ロボ)キットの存在を知ったのは10日ぐらい前。早く紹介しなければと思ってきました。

簡単に言うと、日本企業が米国や中国のヒューマノイドに追いつくために、各社で始める草の根的なヒューマノイド開発プロジェクトの良いテンプレートになるのはこれだと確信しています。最終的にはNVIDIAのロボット開発技術スタックをフルに使って(そのノウハウもトレーニングして)、自社専用のカスタマイズされたヒューマノイドのPoCを実機として作ります。そこまで行けるオープンソース・キットです。

ChatGPT(ロボティクスの最先端を知悉している大家です。ご自分で確かめて下さい)と毎晩のように議論しながら、どうすればこれをNVIDIAのロボット開発スタックと組み合わせて、どのようにして日本企業が自分の会社の強みを活かしたカスタマイズバージョンのPoCにしていくことができるのか?道筋を確かめて来ました。

まず本投稿では、オープンソースのキットである「Berkeley Humanoid Lite」そのものをご紹介します。米国の3Dプリンティング専門誌の以下の記事と冒頭に掲げたBerkeleyのYouTube動画を素材として紹介します。

3D Printing Industry: UC Berkeley Unveils $5,000, Customizable Humanoid Robot for Open-Source Collaboration

◎概要と目的

「Berkeley Humanoid Lite」は、UCバークレーの研究チームが開発した、5000ドル以下で自作可能なオープンソース3Dプリントヒューマノイドロボットです。商用のヒューマノイド(10万ドル以上)に比べて、コスト・透明性・カスタマイズ性を大幅に改善しています。

  • 全体スペック

    • 身長:0.8 m、重量:約16 kg

    • 総パーツ代:5,000ドル以下(米国内市場価格)

    • 全設計・CAD・ソフトウェア・強化学習フレームワーク・トレーニング済みモデルまでMITとCC BY-SAで完全公開

◎構造・機構設計

3Dプリント・サイクロイダルギアボックス

  • 高コストの金属製に対抗するため、3Dプリンタ製のサイクロイダル(遊星歯車型)ギアを採用

  • 強度と耐久性確保のため、機構テストを重ねた配慮

  • Desktop FDMプリンタ(200×200×200 mm以上)の印刷サイズに対応

モジュラー構成と素材

  • アルミフレームと3Dプリント部品のハイブリッドフレームで、軽量かつ構造剛性を両立

  • ジョイント数22自由度(22 DOF)を持つ本格設計

  • モジュール化により、個別部品の交換やカスタマイズが容易

◎ソフトウェア&制御

シミュレーションからリアルへ(sim‑to‑real)

  • 強化学習に基づいた移動制御を採用し、シミュレーションで学習 → 実機でほぼそのまま動作(zero-shot transfer)

  • バランス、歩行、ホッピングといった動作を実機で確認

  • モーションキャプチャとの連携テレオペレーション機能も同一フレームワーク内に統合

多様なタスクデモ

  • 書字、荷物の開梱・梱包、ブロック積み、ルービックキューブの操作まで多様な操作実験を実施

◎オープンソース活用の利点

  • 全CAD・制御コード・強化学習モデルを GitHubでMITライセンス公開

  • 教育・研究・ホビー用途に最適な、学習・実験用プラットフォームとして展開可能

  • UE4などで使われる Onshape → MJCF/URDF/ROS対応の統合ファイル群完備 github.com

冒頭YouTube動画に関する技術解説

ご紹介した動画では、ハードウェア、組立、動作デモ、ソフト制御などが順を追って詳解されています。

動画内容ポイント

  1. 全体筐体と搭載センサの紹介
      -- ボディ形状やプリント部の品質、取り付け済みモーターや配線確認。

  2. 脚部組立デモ(別動画にもあり)
      -- サイクロイダルギアの組み方、ギアクリアランス・潤滑の解説。

  3. テレオペ遷移
      -- ジョイスティックやGUI入力によるリアルタイム制御。

  4. 歩行/ホッピング動作
      -- シミュ実行モデルからそのままの制御パラメータで実機が動く様子。

  5. 実世界タスク
      -- 書字、物体把持、キューブ回転を行う手先モジュールの位置精度と制御系の解析。

技術的示唆

  • 3Dプリント品質→耐久性:ギア形状と材質の設計次第で、実用的耐久性能を獲得している。

  • ソフトモジュール設計:低レベル制御(PID+FF)からモーション制御 → RL制御への流れが体系的。

  • 拡張性:例えば手先やセンサ類の追加、ROS統合で教育用プラットフォームとして使える。

◎日本の開発者にとっての意義

  1. 低コストで自律ヒューマノイドに挑戦
      高額機材なしで全身ロボットの学習・研究が可能。

  2. モジュラー&オープンで拡張性が高い
      独自手先やセンサ、AIモジュール追加に最適。

  3. ソフト〜ハードまでの一貫実験が可能
      自身のAIモデルを物理機体で即テストできる。

  4. 教育・DIY・地域開発の起爆剤に
      大学や企業のロボット教育に組み込みやすく、起業アイデアの土台となる。


3Dプリンタで部品を出力できて、総額5,000ドル程度で収まるというこのキットは、ヒューマノイド実機を購入してハンズオン分析するためには、中国Unitreeの場合で改造可能なバージョンが1,000万円弱であることを踏まえると、社内で草の根的に始めるプロジェクトのためにはピッタリだと言えます。また、すでに米国でコミュニティができていて、NVIDIAの技術スタックでカスタマイズするノウハウの共有も始まっているようです。

ヒューマノイド(人型ロボ)量産に踏み出す第一歩『先進モデルのハンズオン分析』とは?

次回の投稿では、Berkeley Humanoid Liteを使ってNVIDIAのロボット開発技術スタックをどのように組み合わせて実機に落とし込んでいくのか、具体的な手順を見ます。

なお、技術的な事柄一切は私が書くと誤りが混じる可能性が大きいため、すべてChatGPTに書かせていることをお断り申し上げます。

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