ドイツで交通インフラのM&A候補を探す。500万円級のコンパクトな報告書【経営者のChatGPTディープリサーチ】
ChatGPTディープリサーチの調査執筆性能は博士号取得者レベル
調査会社にいた時代に最大手素材メーカーから「欧州でM&A候補を探して欲しい」というオーダーが来たことがあります。分野が特殊であり、かつ欧州だとドイツ語にも対処しなければならなかったので難儀しましたが、何とか報告書を作成しておかげさまで期待に応えることができました。
ドイツでは、財政支出の上限が撤廃され、国の予算によるインフラ投資が活発になることが決まりました。
ロイター:ドイツ、国防支出急拡大で冷戦後最大の投資ブーム到来か
各企業の売上増が期待できるドイツのインフラ投資分野の中で、交通インフラと高度道路交通システム(ITS)に関連した中堅企業ないし中小企業にマイナー出資をするシナリオで、ChatGPTディープリサーチに調査させました。
ChatGPTディープリサーチがいいのは、経営者が思い付いた時に、専門職の調査員レベルの調査をさせることができるという点です。私は海外調査担当の経験が長く、これで食べさせてもらった年数が15年ほどあるのですが、そういう経験者の目線から見ても、ChatGPTディープリサーチの調査執筆性能は優秀です。どれぐらい優秀かと言うと、わかりやすい例えで以下の投稿に書いた通りです。
OpenAIのDeep Researchはあたかも日立製作所本社の優秀な調査スタッフ【ChatGPTディープリサーチ】
ChatGPTディープリサーチはドイツ語資料も難なくこなす
ドイツでM&A候補を探すとなると、当然、ドイツ語資料を博捜しなければなりません。筆者は英語は何とかなるもののドイツ語は読めません。ドイツ語資料に当たる場合は英語を噛ませてアクセスします。そうして英訳して読みます。
ChatGPTディープリサーチはマルチ言語対応ですので、ドイツ語資料も難なくこなします。これはありがたいです。しかも1ヶ月に10回までディープリサーチを使うことができるChatGPT Plusなら20ドルです(本格的に経営者の方が使う場合にはChatGPT Pro、1ヶ月200ドルをお勧めします)。
今回は特にプロンプトでドイツ語資料に限定して調べるように指示しました。
そうして出来上がった報告書のハイライトが以下です。
報告書現物は、文書類の共有がしやすいnoteの方で投稿しています。この報告書を作成する時に使った英文ストラクチャード・プロンプトもnoteの方に置きます。
note: 【M&A候補調査】ドイツで交通インフラ&高度道路交通システムの実績ある企業を探すケース
M&A候補報告書のハイライト
過去の大型プロジェクト実績:
ドイツ国内のICEや近郊列車向け速度計納入のほか、欧州各国の車両メーカー(シーメンス、アルストム等)にセンサ類を供給。信号システム連動用の車上装置でもDB(ドイツ鉄道)の更新プロジェクトに参画実績がある。近年はETCS関連の計測機器でも採用が進む。
M&Aに向いている理由:
オーナー一族の高齢化に伴い将来的な事業承継が課題となり得る。海外展開は限定的であり、日本企業のネットワークを活用したアジア市場開拓にも関心を示す可能性がある。品質第一の社風であり、日本企業との価値観の共有も容易。少数株主として参画し、現経営陣の技術主導路線を尊重する形であれば前向きな協議に応じる余地があるだろう。
AVT STOYE GmbH & GEVAS software GmbH(エーヴィーティー・ストイエ および ゲヴァス・ソフトウェア)
過去の大型プロジェクト実績:
GEVASはベルリンやライプツィヒなど多数の大都市に交通管制システムを納入し、ミュンヘンやハノーファーでの高度交通管理でも主要ベンダーとして活躍。AVTもケルン市やNRW州内の信号機インフラ整備で実績豊富。統合後はインゴルシュタットの自動運転実証実験向け信号システムや、国内外のC-ITSパイロットプロジェクト(欧州C-Roadsプロジェクト等)に共同参画している。
M&Aに向いている理由:
統合により事業基盤は強化されたが、更なる海外展開や資本力強化にはパートナーが有用。特にアジア市場への進出意欲があり、日本企業のネットワークを求める可能性がある。創業家色は比較的薄く外部資本を受け入れやすい土壌があり、少数出資で経営に参加しつつ双方の技術を融合することで、新市場開拓や次世代技術開発を加速できると期待される。日本企業の長期志向は顧客である自治体からの信頼獲得にも寄与し得る。
RTB GmbH & Co. KG(エア・テー・ベー)
過去の大型プロジェクト実績:
1994年に音響式信号案内装置を開発・国内各都市に普及。1997年には押ボタン一体型システムでドイツ市場の標準となる製品を確立。国際的には2003年に香港で1万基以上の信号機に音響・押ボタンシステムを供給した実績があり、現在も香港の歩行者支援システムの主力サプライヤーとなっている。近年では中東や欧州各国のスマート交差点プロジェクトにも製品を提供中。
M&Aに向いている理由:
創業者のブロア氏は事業拡大に成功したものの、世代交代の時期に差し掛かりつつある。既に北米(カナダ)やアジアに拠点を設け海外展開を図っており、更なるグローバル成長にはパートナー資本の導入も視野に入る。品質と安全性を重んじる姿勢から、日本企業との協業には好意的とみられ、少数出資による戦略提携で技術交流・市場拡大を図る余地がある。後継者問題の解決策としても、経営参加型の資本提携は有力な選択肢と言える。
個別の会社の深堀り調査報告書もChatGPTディープリサーチにお願いできる
報告書本体では、計6社が候補として挙げられています。
それら6社の中から、特に興味を引く1〜2社について、突っ込んだ調査をやらせることもできます。無料版のChatGPTだと情けない薄っぺらな記述が返ってくるだけですが、10分〜15分うんうん唸りながら調べるChatGPTのディープリサーチだと、プロの調査員が行うような視点で調査を設計し、そのプロンプトを走らせると、見事な個社別の詳細報告書が上がってきます。
その報告書の粒度は、以下のNVIDIAの報告書をご覧になるとご理解いただけます(以下の投稿の末尾にあります)。この粒度で、ドイツ語資料を広く調べた報告書が上がってきます。外部に発注すると、700万円〜1,000万円級の調査報告書になると思います。ドイツ語資料を博捜する調査は難易度が高いので、そうした金額になります。発注から納品まで最短でも1ヶ月です。ChatGPTディープリサーチなら1時間以内で報告書が手元に来ます。