GX実践企業の新たな評価軸の構築
カーボンニュートラルを推進していく中で、GXに向けた資金供給や評価軸のあり方も重要なテーマとなっています。
経済産業省は20222年9月15日、「第2回 産業のGXに向けた資金供給の在り方に関する研究会」を開催しました。
今回はこの中から、「GX実践企業の新たな評価軸の構築」を中心に、とりあげたいと思います。
脱炭素分野のイノベーション実装にあたっては、資金供給側からの課題感があります。
脱炭素分野のイノベーションの社会実装に対して、資金供給側からは、①技術・市場情報の不足の補完、②新たな事業体形成、③大規模な資金供給や長期資金のリスクシェアの必要性の声が出ています。
研究開発から商用化に至る段階では、資金の需給が乖離する「死の谷(資金ショート)」が存在するおそれも指摘しています。
こういった状況の中、政策対応の方向性では、公的機関と民間金融の強みをうまく組み合わせていくことで、最大限のレバレッジを引き出していくことが重要ではないか、といった必要性をあげています。
ここで重要となるのが、GX実践企業の新たな評価軸の構築です。
問題意識は以下のとおりです。
・GX投資は、長期かつ規模が大きく、その効果発現までに時間がかかることに加えて、中央投資家層は、GFANZの動きなどもあり、排出量の多い企業の株式購入を控え始めており、GX投資が
必要な多排出企業ほど、株式市場における評価が上がりにくい状況。・これは、現状の気候変動分野における企業評価が、排出量そのものを「リスク」として評価し、排出削減に資する製品・サービスなどを「機会」として評価できていないことが原因と考えられる。
・我が国には、製品・サービスを通じて社会全体の排出削減に貢献をしている企業や、革新的な技術の実装に向けた研究開発に投資をし、移行の中での貢献の機会を有する企業が多く存在。また、これらの企業を積極的に評価しようという金融機関側の動きが出てきていることも事実。
・他方、現行では、「機会」の開示方法や項目も開示主体により異なっており、気候変動分野における「機会」評価の方法論や指標についても確立したものは存在していない。
・今後、企業のGX投資をより促進していく上では、気候変動分野における企業の評価の中に、「機会」関連の評価軸を作り、企業側の開示と金融機関側が目線を合わせることで、開示と活用の好循環を回していくことが重要ではないか。
・また、これらに関連する指数やETF等の金融商品の開発を促進することにより、GXを実践する企業の企業価値を底支えすることが重要ではないか。
こういった状況の中、機会評価のフレームワークの例をあげています。
現状、機会評価に関するフレームワークは限られているが、一部の金融機関や評価機関は、削減貢献量含め、以下のような項目に基づき、機会面の評価を開始したところ。機会評価のフレームワークを検討する当たっては、以下の例を参考に議論を進めてはどうか、といった提案をしています。
出典:経済産業省 第2回 産業のGXに向けた資金供給の在り方に関する研究会 2022.9
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