目指すガバナンスモデル ― アジャイル・ガバナンス・モデル
経済産業省は2022年8月8日、「Society5.0における新たなガバナンスモデル検討会報告書(Ver.3)」を公表しました。
この中から、目指すガバナンスモデル ― 「アジャイル・ガバナンス・モデル」について、とりあげたいと思います。
Society4.0以前の社会を前提とした法規制、市場メカニズム、個人・コミュニティの参加に関するガバナンスシステムは、Society5.0の時代において様々な限界に直面しており、こうした限界を乗り越え、イノベーティブな社会を実現するためには、既存の法律、市場、民主的システムの在り方を大胆に見直すべきであるとしています。
ガバナンス・イノベーション報告書では、そうした新たなガバナンスモデルを検討し、結論として、以下3つの要素から成るガバナンスモデルを提唱しています。
① 主体:マルチステークホルダー
② 手順:アジャイル
③ 構造:マルチレイヤー
本報告書では、このような3つの特徴を備えたガバナンスモデルを、「アジャイル・ガバナンス・モデル」と呼んでいます。
3つの特徴のポイントは以下のとおりです。
① 主体:マルチステークホルダー
社会の変化の加速と複雑化に伴う情報の非対称性の増大や、価値観の多様化を考えると、企業、政府、個人・コミュニティといった様々なステークホルダーが、それぞれの持つ情報と価値観の下に自主的なガバナンスを行いつつ、透明性と対話を通じて他のステークホルダーとの間での信頼を醸成する、協働的なガバナンスを行っていくことが重要であると考えられる。
② 手順:アジャイル
不確実性の増加する社会においては、事前に正しいルールや責任の所在を定めておくことが困難であるため、失敗を許容しつつ、社会全体で継続的に学習し、ガバナンスの仕組みを迅速にアップデートし続けることが求められる。
③ 構造:マルチレイヤー
マルチステークホルダーによるアジャイルなガバナンスを実現するためには、個々の主体が行うガバナンスを、都度調査しなくても信頼できるような仕組みが必要である。そのために、様々な機能の
重要な結節点に、信頼の基盤(トラストアンカー)を設置することが望ましい。
出典:経済産業省 Society5.0における新たなガバナンスモデル検討会報告書(Ver.3)2022.8