Web3.0よる日本の経済社会のアップデートのシナリオ例 ~経産省資料から
Web3の動向が注目されており、経済産業省が2022年5月に公表した第30回産業構造審議会総会 資料を参照しながら、Web 3.0よる日本の経済社会のアップデートのシナリオ例について、とりあげたいと思います。
経済産業省では、Web 3.0よる日本の経済社会のアップデートのシナリオ例として、①グローバルに稼げる「価値創造経済」への転換、②社会課題解決型の新たな市場の創出、③産業活動の最適化・強靱化の3つを紹介しています。
それぞれ、引用してみたいと思います。
①グローバルに稼げる「価値創造経済」への転換
・グローバル展開を前提とした挑戦が次々と生まれる経済
国境なき経済活動のフロンティアがサイバー上で一気に広がり、初めからグローバル市場を狙うスタートアップ・新規事業が続々と誕生。その中から既存のプラットフォーマーの独占構造を塗り替えて成長する企業も出現。・誰もが価値創造に貢献し、その見返りを受けられる経済
DAO(分散型自律組織)により、一部の資本家のみならず、従業員・顧客等のステークホルダーそれぞれが企業・プロジェクトを成功させるインセンティブを持つことになり、総体としての価値創造が活発化。国民全体がより豊かに。・クリエイティブ産業大国としての日本復活
NFT(非代替性トークン)により、これまでプラットフォーマーに集中した利益をクリエイターが得られる構図に。漫画・ゲームをはじめ豊富な文化資本を持つ日本が躍進。
②社会課題解決型の新たな市場の創出
・地理的制約の克服による自由で豊かなライフスタイルの実現
メタバースの発展により全国どこでも快適に生活・労働・学習が可能となり、人口の地方分散が進むとともに、国境をまたいだ労働・学習も拡大。
・資源制約に縛られない新たな成長フロンティアとしての循環経済の実現
生産者がリセール市場で収益を得られるNFTの仕組みが普及し、循環性のある新たな市場を創出、資源の外部依存度を軽減。
③産業活動の最適化・強靱化
・より安く、早く、安定したサービスの提供
ブロックチェーン上の自動プログラムに基づくピア・ツー・ピアの取引が拡大し、余計な中間マージンを省略可能に。
・サプライチェーン透明化による効率性と強靱性の同時実現
企業・業種をまたぐデータ連携が容易になり、サプライチェーンの即時把握により、効率化や環境対策・人権保護等への対応を両立。
・サイバー攻撃に強くデータが自由に流通する経済の実現
中央サーバの不要化、データの真正性の確保によって、サーバ停止、データ改ざん等の攻撃に強い経済に。ボーダレスなビジネス展開も容易に。
Web3は、今後の技術革新、ビジネスモデル、規制、産業振興等の動向によりどのようなシナリオをたどるかが左右されますが、経済社会のアップデートという視点でとらえてみると、今後のヒントが見えてくるのではと考えています。
出典:第30回産業構造審議会総会 2022.5