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ガバナンス・イノベーションにおける政府・企業・個人の役割

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経済産業省は2019年12月26日、「GOVERNANCE INNOVATION: Society5.0の時代における法とアーキテクチャのリ・デザイン」報告書(案)の意見公募手続(パブリックコメント)を開始しました。

経済産業省では、2019年8月から、「Society5.0における新たなガバナンスモデル検討会」を開催し、ビッグデータ、IoT、AIなどデジタル技術が社会を急激に変えていく中で、「イノベーションの促進」と「社会的価値の実現」を両立する、新たなガバナンスモデルの必要性と、その在り方について検討を行ってきました。

今般、「Society5.0における新たなガバナンスモデル検討会」における議論を、「GOVERNANCE INNOVATION: Society5.0の時代における法とアーキテクチャのリ・デザイン」報告書(案)として、取りまとめを行っています。

本報告書(案)から、 ガバナンス・イノベーションにおける政府・企業・個人の役割について、とりあげたいと思います。

新たなガバナンスモデルにおいて、各主体の役割を以下のようにまとめています。

スクリーンショット 2020-01-10 14.07.34.png

ガバナンス・イノベーションにおける各主体の役割の変化と利益

出所:経済産業省 2019.12

それぞれの役割については、以下のとおり整理しています。

  • 政府:ルールの設計者からインセンティブの設計者へ
  • 企業:被規制者からルールの共同設計・施行者へ
  • コミュニティ・個人:消極的受益者から積極的評価者へ

まとめると、以下のとおりとなります。

政府:ルールの設計者からインセンティブの設計者へ  

<ルール形成>
・特定のリスクに対して達成されるべき法目的(ゴール)を規定
・ガイドライン・標準の策定を、ファシリテーターとして後押し
・企業のシステムを審査し、必要に応じて認証を与える
・産業のアーキテクチャのデザインを主導
・市場ルールの整備
・取引関係の明確化・円滑化を向上させる取組み
<モニタリング>
・一定の情報開示を義務付けたり、情報開示に対するインセンティブを企業に付与
・モニタリング・レビューを通じて、法律やガイドライン・標準の実効性や見直しの要否について検討
<エンフォースメント>
・問題となる企業の行為の社会的影響力に応じて適切な制裁
・民間企業に対する協力へのインセンティブを与えることも重要
・国際的なルールの相互互換性確保に向けた議論や、標準化の推進を政府が積極的に後押し

企業:被規制者からルールの共同設計・施行者へ

サイバー空間のアーキテクチャを設計・管理している企業自身が、ルール形成・モニタリング・エンフォースメントのあらゆるガバナンス過程において、中心的な担い手に

<ルール形成>
・企業が積極的にガイドラインや標準の策定
・柔軟にサイバー空間・フィジカル空間のアーキテクチャを設計し、法目的を達成
<モニタリング>
・企業自らが対外的に発信(コンプライ・アンド・エクスプレイン)
<エンフォースメント>
・事故や不正が発覚した場合には自主的に規制当局に報告し、原因究明に協力し、事後の改善措置を採る

コミュニティ・個人:消極的受益者から積極的評価者へ

・情報の乏しい脆弱な存在ではなく、社会に向けて積極的に自らの価値観や評価を発信できる主体
・個々人の意見がガバナンスに反映されることが重要
・情報開示ルールの充実
・競争ルールの適切な運用

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