ガートナーの2020年の戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10で示す「分散型クラウド」
米調査会社のガートナーは、2019年10月21日、企業や組織にとって重要なインパクトを持つ「戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10」の2020年版を発表しました。
2020年に注目すべき戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10は、次のとおりです。
- ハイパーオートメーション
- マルチエクスペリエンス
- 専門性の民主化
- ヒューマン・オーグメンテーション (人間の拡張)
- 透明性とトレーサビリティ
- エッジ機能の拡張
- 分散型クラウド
- 自律的なモノ
- 実用的なブロックチェーン
- AIのセキュリティ
この中から、「分散型クラウド」についてとりあげたいと思います。
ガートナーでは、「分散型クラウド」
分散型クラウドは、パブリック・クラウド・サービスをさまざまな場所に分散させ、サービスの提供者であるパブリック・クラウド・プロバイダーがそのオペレーション、ガバナンス、アップデート、進化に関する責任を負うというものです。これは、大半のパブリック・クラウド・サービスで採用されている一元化モデルからの大幅な転換を意味し、クラウド・コンピューティングの新時代をもたらします。
と定義しています。
これまでは、クラウドサービスの契約や利用にあたっては、クラウド事業者と利用者の責任分界点を明確にしておくといったことがクラウドガバナンスを考える上で重要視されてきました。この内容だけでは、読み解くことが難しいところもありますが、クラウドサービス事業者側がサービス提供の範囲に関して、より範囲を広げていているということを示していると思われます。
この一元化モデルというのはクラウドマネジメントプラットフォームのように、ユーザ側が管理ツールを利用し、ユーザ側の責任の上で、複数のクラウドを管理するといったところですが、これがクラウドサービス事業者側に責任がシフトしていくといった趣旨を意味しているものと思われます。
日本のマーケットで、この「分散型クラウド」モデルと、責任範囲がどこまで理解され、浸透していくのか注目されるところです。