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仮想化技術等によるネットワークの変遷と対応の方向性

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総務省は2019年9月30日、「グローバル課題検討WG(第6回)」を開催し、

第1節 電気通信市場のグローバル化における利用者利益等の確保
第2節 ネットワーク仮想化等の技術革新への対応
第3節 我が国発のイノベーション創出等に向けた環境整備

に関する論点整理をしています。

今回は、第2節 ネットワーク仮想化等の技術革新への対応から、仮想化技術等によるネットワークの変遷と対応の方向性に紹介したいと思います。

(1) 基基本的な対応の方向性

• 今後、電気通信事業者のネットワークにおける仮想化技術、クラウド技術、ネットワーク・スライシング技術等の導入は段階的に進むと想定され、これら技術の導入の進展状況等に応じ、サービスの提供形態やネットワークに関与する主体の範囲が変わりうると考えられる。
• 特に、2020年代半ばと想定される、ネットワークにおけるコア機能の更なる仮想化、エンド・トゥ・エンドのスライス提供、ネットワークのクラウド化等の進展を受け、 『「機能」を活用する主体』として、電気通信事業者以外の者がネットワークへの関与を強める等により、ネットワーク構造や市場構造が大きく変化する可能性が考えられる。
• 仮想化技術をはじめとする革新技術の活用は、ネットワークを基盤とした機動的なビジネス展開や新サービス等の価値創造を可能とするものとして、これを促進するための政策的対応が求められる一方で、上記のようなネットワーク構造や市場構造の変化に伴い、ネットワークの安全・信頼性の確保、利用者利益の確保、新たな市場支配力に対応した競争環境の確保等、様々な観点から、必要なルールの適用等が求められるのではないか。
• 上記のルールの適用等に当たっては、イノベーションを阻害しないよう、これら技術の活用を通じたネットワークを巡る環境変化を適切に捉えた上で検討を行う必要があるため、こうした環境変化を継続的にモニタリングする仕組みが求められるのではないか。

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出所:総務省 グローバル課題検討WG(第6回) 2019.9.30

(2) 主体の確認の在り方

• 2020年代半ばに想定される仮想化技術等の進展に伴い、『「設備」を設置する主体』と『「機能」を活用する主体』の分離が進み、さらに「設備」と「機能」の両面において、これらを担う者が多様化することが考えられる。特に、ネットワークと、その利用者である消費者やユーザ企業の間を仲介し、ネットワークの管理・運用を担う『「機能」を活用する主体』として、新たなプラットフォームが出現する可能性も考えられる。
• 2017年8月に発生した経路誤設定に起因する大規模なインターネット接続障害や、2018年12月に発生したソフトウェアに起因する携帯電話サービスにおける重大事故等も踏まえれば、今後、 『「機能」を活用する主体』が、ネットワークやその利用者に対して与える影響は大きなものになると想定される一方で、現行の電気通信事業法は、「設備」・「機能」・「役務」の一体的運用による事業形態を基本的な前提とした規律体系となっており、上記のような新たな主体やサービスの位置付けは明らかではない。
• このため、仮想化技術等の活用に伴うネットワークを巡る環境変化を注視し、将来的に、上記のような新たな主体が登場した場合、それが担う役割、ネットワークや市場に対する影響の大きさ等に応じ、現行の電気通信事業者と同様またはこれに準ずる形で主体を確認する方策を検討することが適当ではないか

(3) ネットワークの安全・信頼性や利用者利益の確保の在り方

• 当面の対応として、ネットワーク構成におけるソフトウェアの役割が増大することを踏まえた現行の技術基準のフレームワークやネットワーク管理を担う人材育成の在り方等を適切に見直していくことが適当ではないか。
• 中長期的には、仮想化技術等の本格的導入により、2020年代半ば以降、伝送機能を含めた全てのネットワーク機能がソフトウェア化することを見据え、現行の「設備」に着目したネットワークの安全・信頼性に係る規律を「機能」に着目したものへと本格的に転換することが求められるのではないか。
• 具体的には、ネットワーク・オーケストレーション機能(MANO機能)、スライシング・サービス機能等、それまで電気通信事業者のネットワークに閉じて運用されていた機能の一部が、(2)に述べた新たな主体をはじめとする第三者に開放されることも見据え、「機能」の利用における安全・信頼性を確保するための要件等を新たに規定することが求められるのではないか。
• また、責任分界の考え方については、現行制度の下、電気通信設備の分界点を起点として、各電気通信事業者が品質水準を確保するとともに、障害発生時の対応等を行っている。今後、ネットワークやサービスの担い手が極めて多様化するとともに、上記の機能の利用を通じ、各担い手がネットワークに対して与える影響も拡大することを見据えれば、例えば、『「機能」を活用する主体』も含めた関係主体が多層的に責任を果たすことにより、ネットワーク全体としての安全・信頼性が確保される仕組み等について、今後のネットワークにおける機能の開放の状況、新たな主体が担う役割等も踏まえた検討が求められるのではないか。
• 上記の新たな責任分界の考え方にあわせ、最終消費者に対してサービスを提供する者が担うべき責任の在り方について、消費者利益の確保の観点からも検討することが適当ではないか。

(4) 仮想化技術等を通じた円滑な事業者間連携の在り方

•2030年頃を見据えれば、様々な分野・産業におけるネットワークの一層の活用を促進し、新サービス・新事業を創出することが期待される。ネットワークにおける仮想化技術、クラウド技術、ネットワーク・スライシング技術等は、電気通信事業者以外の主体に対し、各々のニーズに対応したより柔軟なネットワーク利用を可能とするものであり、上記の観点から、これら技術を活用した円滑な事業者間連携を政策的に促進していくことが適当ではないか。
• 具体的には、2020年代半ばに想定される仮想化技術等の進展を見据え、ネットワーク・オーケストレーション機能、ネットワーク・スライシング機能等、より柔軟なネットワーク利用を可能とする機能について、多様な主体による利用を促進するためのAPIのオープン化や標準化等に向けた検討を進めることが適当ではないか。
• 一方で、APIのオープン化等により、(3)に述べたとおり、ネットワークやサービスの担い手が極めて多様化し、ネットワークに対して与える影響も拡大すると想定されるとともに、上位レイヤ事業者によるネットワークの管理・運用への関与が拡大し、市場支配力の在り方にも大きな影響を及ぼすことが想定されることから、上記にあたっては、ネットワークの安全・信頼性、公正競争の確保の観点等からも、総合的に検討を進めることが適当ではないか。

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