令和2年度 経済産業政策の重点(案)、大きなテーマの一つに大企業からのリソース開放による新たな成長モデルの創出
経済産業省は2019年8月9日、「第25回 産業構造審議会総会」を開催し、経済産業政策の重点案やデジタル経済進展への対応などについて、議論・検討を行っています。
日本が対応すべき2つの大きな変化は、既存のビジネスモデルが通用しないデジタル経済の進展と、米中対立をはじめとする世界政治経済の混乱であり、これらへの着実な対応なしに日本経済を更なる成長につなげることはできない状況としています。
その上で、日本の産業界が付加価値を高め、新たなビジネスが生まれる好循環を実現するため、
①大企業からのリソース開放による新たな成長モデルの創出
②安全保 障と一体となった経済強靱化政策
を両輪で進めることに経済産業政策の力点を置いていくとしています。
出所:出所:「第25回 産業構造審議会総会 2019.8
日本経済の復活の鍵は、大企業・公的セクターからのヒト・モノ・カネの開放。開放されたリソースによる新たなビジネスの創出や企業の枠を超えた挑戦を後押しするとし、
(1)「自前主義・囲い込み型」から、「開放型・連携型」の組織運営への移行
・ 兼業・副業の促進/資金の豊富な大企業によるベンチャー等への投資促進/事業再編の円滑化
(2)新たな価値を生むプレーヤー・市場の創出
・J-Startup企業の徹底支援によるスタートアップ・エコシステム強化/国内外のリスクマネー供給強化
・国際標準を活用した新市場創出/ 新興国企業との共創による新事業創出
の2点をあげています。
(1)「自前主義・囲い込み型」から、「開放型・連携型」の組織運営への移行について、より具体的な取組方針が示されています。
・日本型の雇用慣行のモデルチェンジを促進。厚労省と連携して、中途採用・経験者採用の実績開示や好事例の横展開、兼業・副業の拡大に向けた労働時間・健康管理についての課題・論点整理に取り組む。
・創造的な新規事業を可能とする企業マネジメントを促進。資金の豊富な大企業によるベンチャー等への投資の 促進や、企業本体から意思決定機能が独立した「出島」の活用などへのインセンティブを強化する。
・連結納税制度の適切な見直しや、株対価M&Aの活用のハードルを下げる仕組みの導入を通じて、企業の事業ポートフォリオの最適化と、スタートアップとの連携強化を促進する。
・企業グループ全体のガバナンスのあり方を示し、その実現に向けた取組を促す仕組みを構築することで、事業再 編の円滑化を促し、低成長部門から成長部門へのリソース集中を促進する。
・日本市場の信頼性向上により投資を呼び込むため、上場子会社について、親会社からの独立性確保等のガ バナンスのあり方を提示。さらに、利益相反構造にあるM&Aについて、公正性を担保するためのプロセスを周知 する。
日本経済の復活の鍵は、大企業・公的セクターからのヒト・モノ・カネの開放とされる中、日本型の雇用慣行をどこまでモデルチェンジできるか、注目していたいと思います。