ガバナンス・ギャップと新たなガバナンスモデル
経済産業省は2019年8月9日、「第25回 産業構造審議会総会」を開催し、経済産業政策の重点案やデジタル経済進展への対応などについて、議論・検討を行っています。
今回は、デジタル経済進展への対応からガバナンス・ギャップと新たなガバナンスモデルについてとりあげたいと思います。
デジタル社会では、法がビジネスモデルの変化に追い付かず、以下の2種類のガバナンス・ギャップが発生していると指摘しています。
① 新たなビジネスモデルがもたらす不公正を規律できない
② イノベーティブなビジネスの登場が阻害される
ガバナンス・ギャップ拡大の背景は、Society 5.0の進展に伴い、以下の5点をあげています。
(A) リアルタイムで広範・精緻な個人・非個人データの収集
(B) アルゴリズムがフィジカル空間をコントロール
(C) 急速な技術進化とビジネスモデルの変化
(D) ビジネスのグローバル化
(E) 政府と民間事業者の情報の非対称性の拡大
ガバナンス・ギャップの具体例では、
(B) アルゴリズムがフィジカル空間をコントロール
・ID基盤やAI評価基準など、様々な枠組を分野横断的に展開できるようになる。
・アルゴリズムの適切性の監査が必要になる。
・システムの自律的な判断に関する責任の再整理が必要になる
(C) 急速な技術進化とビジネスモデルの変化
・規制の陳腐化の速度が速く、動的な技術・ビジネス実態に即したルールを作成・更新することが困難になる。
・縦割りの業法で規制できないビジネスが増加する。
・規制者自身も、技術を使うことで効率的に法益を実現・保護できる。
新たなガバナンスモデルの検討項目では、
デジタル社会においてトラストを確保するための、ガバナンスモデル改革の全体像の設計などをもとに、
論点1 デジタル規制改革
論点2 企業統治・コンプライアンス
論点3システムの自律的な判断に関する責任
による3つの論点で検討を勧めていくとしています。
新たなガバナンスモデルの検討項目
出所:「第25回 産業構造審議会総会 2019.8
新たなガバナンスモデルの下での規制モデルのイメージでは、標準アーキテクチャーをつくり、三層構造で新たな規制モデルを検討していくとしています。
新たなガバナンスモデルの下での規制モデルのイメージ
出所:「第25回 産業構造審議会総会 2019.8