教育現場におけるクラウド活用の推進
総務省は2019年7月5日、「教育現場におけるクラウド活用の推進に関する有識者会合」報告書を公表しました。
総務省では、教育現場におけるクラウドの導入を進めるため、教育委員会が少ない負担でクラウドを導入することができる望ましい在り方を検証し、教育の情報化を推進することを目的として、「教育現場におけるクラウド活用の推進に関する有識者会合」を開催し、本会合において報告書がとりまとめています。
現在の学校におけるICT環境は、その技術革新により可能となる新たな教育を前提としておらず、例えば「児童・生徒の一人一台PC(タブレット含む)」には程遠く、普通教室の無線LAN整備やインターネット接続についても、大容量のデータ通信を前提にしたものではなく、多くの教育ICTサービスがネットワーク環境の制約を受けている点を指摘しています。学校内にサーバーを設置することは現実的ではなく、教育現場におけるクラウド利用は進んでいないのが現状です。
教育現場におけるクラウド活用のメリットについては、
①教職員等の負担・コストを軽減
②データを安全・安心に保存・利活用
③児童生徒数や利用の増減等に即応
④時間や場所、端末等の違いを超え、切れ目なく活用
といったメリットもある一方で、クラウド導入を阻む要因についても指摘されています。
出所:総務省「教育現場におけるクラウド活用の推進に関する有識者会合」報告書 2019.7
国が取り組むべき事項(提言)として
提言1:教育現場におけるシステム導入を検討する際には、まずはクラウドから検討を始める(クラウド・バイ・デフォルト)ことを明確にすること。
提言2:教育委員会がクラウドサービスを調達する際に、安心してサービス導入ができるよう、その安全性を評価するために必要とされる、第三者評価を求めることを明示すること。
提言3:クラウドを前提とした教育ネットワーク構築のあり方について、より柔軟なセキュリティ確保モデルを提示すること。
提言4:文部科学省「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」における情報資産の分類について、その分類のカテゴリーや、教育委員会に示す例示のあり方を含め、学校現場における利用実態や最新の教育ICTサービスの動向も鑑み、見直すこと。
提言5:個人情報保護条例におけるオンライン結合(通信回線を通じた電子計算機の結合)による個人情報の提供については、多くの自治体で制限されているが、個人情報保護審議会等の意見を聴いた上で公益上の必要があると認める場合など には、オンライン結合が認められている。
提言6:その他(省略)
をあげています。