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日本におけるイノベーションの課題と今後取り組むべき政策

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経済産業省は2019年6月11日、「産業構造審議会 産業技術環境分科会 研究開発・イノベーション小委員会‐中間とりまとめ」を公表しました。

中間取りまとめでは、「パラダイムシフトを見据えたイノベーションメカニズムへ ー 多様化と融合への挑戦 ー」をテーマに資料をとりあげています。

グローバル化や第4次産業革命が進展し、ソフトウェア産業等における収穫加速の法則などとともに新たなイノベーションのメカニズムが生まれ、世界の産業構造は激変。資本集約型社会から知識集約型社会へと転換しています。

IT化や国際化、価値観の多様化が進み、価値を生み出す①源泉、②主体、③手法がパラダイムシフトしています。

①源泉:モノ→IT・サービス
②主体:大企業→ベンチャー、利益を上げる業種の変化、大学の役割の変化
③手法:オープンイノベーション、シリコンバレー等のイノベーションを創出するエリア、産学連携→「産学融合」

日本は、世界の中でITでは大きなイノベーションを起こせず。スタートアップ、オープンイノベーション等も低調。研究費、論文、特許等の指標を見ると先行きも不安という点を指摘しています。

各国が精力的・戦略的に動く中で、「令和」という新たな時代が始まる今、過去の成功モデルに囚われないパラダイムシフト後の世界を見据えた研究開発・イノベーション政策が必要という点を踏まえ、今回中間取りまとめを行い、政府全体の戦略として推進しています。

圧倒的な規模とスピードで変わる世界の中、思い切った転換ができずにいる日本という状況下にあります。

世界の潮流と日本が目指すべき姿を以下のように示しています。

世界の社会課題の解決と経済成長の両立を達成(Society 5.0の実現、SDGsの達成)し、日本が他国には代替できない役割を継続的に担うべきとし、非連続な技術革新やビジネスモデルの刷新による社会や産業の構造的な転換が必要にであるとしています。

グローバルには、日本が多くの国と冷静に話ができる立場。IT分野でDFFT(Date Free Flow with Trust)というコンセプトを提唱したように、諸外国の架け橋となり得る点も日本の強みとしてあげています。

現場の知見や信頼を有する各事業者が、ITを活用しつつ、現場の課題を解決するイノベーションの時代に。日本の強みを活かしつつ、そのような課題に対して諸外国に先立って対応することで、日本の製造業やサービス業もメインプレーヤーになれるチャンスがあるとしています。

価値観やプレーヤーが多様化しており、複数の主体や知見の融合や、様々な主体をITによってつなぐConnectedIndustriesのコンセプトが重要になっている点をあげ、単純な二項対立ではなく(Inclusive)、長所の最適な組み合わせによるイノベージョンを目指すべきであるとしています。

政府が推進するオープンイノベーションの政策は以下のとおりです。

スクリーンショット 2019-06-15 14.23.44.png

出所:産業構造審議会 産業技術環境分科会 研究開発・イノベーション小委員会‐中間とりまとめ 2019.6

政府では今後取り組むべき政策として以下の5つの政策をあげています。

政策1 ビジョンの共有と戦略的なリソース配分
政策2 未来を創るシーズの開拓・育成
政策3 次の産業の担い手となるスタートアップの育成
政策4 多様性やスピードに対応するオープンイノベーション
政策5 イノベーションを産む人材の育成
政策6 イノベーションを支える基盤整備

スクリーンショット 2019-06-15 14.27.51.png

出所:産業構造審議会 産業技術環境分科会 研究開発・イノベーション小委員会‐中間とりまとめ 2019.6

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