データを活用した水道プラットフォーム(仮称)とその導入メリット
政府の未来投資会議は2019年3月5日、「産官協議会「次世代インフラ」会合(第3回)」を開催し、電気、ガス、鉄道、通信事業者における新技術開発の取組みについて、議論検討を行っています。
今回は、経済産業省が取り組んでいる「水道プラットフォーム(仮称)」について、とりあげたいと思います。
上水道事業が抱える課題は、
職員数の減少・ベテラン職員の退職が進展
老朽化施設が増えつつあり、維持管理コストが増加
人口減少に伴う給水収入の減少とともに、施設の最適な運用を進める必要
の3点をあげており、特に小規模な水道事業体における持続可能な事業運営が困難となっています。
データ利活用上の課題は、
現状はベンダー各社でデータの接続仕様が異なるため、異なるベンダーによって構築されたシステム間のデータ連携が困難である点を指摘しています。
これまでの取組みでは、経産省と厚労省とが連携し、2016~2018年度で実証事業を行っています。
4地域の事業体や複数のベンダー参画の下、データ流通の共通ルールを定めるための検討を開始しています。ベンダーロックインを外し、施設データや台帳データを活用して、AI等のアプリケーションを利用できるシステムの標準仕様を検討し、プロトタイプを構築しています。
出所:未来投資会議 「産官協議会「次世代インフラ」会合(第3回)」 2019.3
今後の方針は、
厚生労働省において、標準仕様を採用したシステムの導入を希望する水道事業体を募集中。システム導入に要する費用について、支援を実施。
経済産業省では、2019年度中に水道プラットフォーム(仮称)を構築する民間企業等に対する補助を行い、2020年度からサービス開始予定。プラットフォーム運営事業者は、水道事業体から利用料を徴収して運営。
まずは少数の水道事業体の利用からスタートし、さらに各事業体の施設更新のタイミングでプラットフォーム利用への移行が進むよう、厚生労働省と連携して周知・普及活動に取り組む。
としています。
水道プラットフォーム(仮称)導入のメリットは、
① 割り勘で低コストに
ー システムの共有による割り勘効果
ー ベンダーロックインから外れることで、コスト低減(アプリケーションにも競争が生まれコスト低減)
② システム投資(資本的支出)でなく、毎年の利用料負担(費用計上)に
ー IT調達を担う人材すら手当てできない事業体でも、簡単に利用可能
ー ダウンサイジングに応じて柔軟にシステム・コストの低減を行うことが可能に
③ 業務の一体運営をしやすく ➜ 広域化を後押し
ー広域化に際しての効果的なダウンサイジングの検討が容易に
ー広域化した際は、システムを共有することにより、施設等の一体的運用が容易に
の3点をあげています。
クラウドサービス的な活用イメージとなっています。