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2030年頃を見据えたネットワークビジョンに関する考察

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総務省は2018年10月4日、「情報通信審議会 電気通信事業政策部会 電気通信事業分野における競争ルール等の包括的検証に関する特別委員会(第1回)」を開催し、「電気通信事業分野における競争ルール等の包括的検証」や2030年頃を見据えたネットワークビジョンに関する考察などについて、議論・検討を行っています。

今回は、2030年頃を見据えたネットワークビジョンに関する考察(たたき台)の一部をとりあげたいと思います。

ネットワーク・トポロジーについて 〈全体概要〉では、プラットフォーム、インターネット、中継ネットワークの3つのレイヤに分けて、それぞれの課題を整理しています。

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出所:総務省 2018.10

プラットフォームでは、

プラットフォームサービス(アプリ市場の提供、利用者管理、認証等)は、インターネット上の情報流通の基盤として大きな社会的役割を果たしており、グローバルOTT(Over the Top)事業者はこれを起点として、端末開発やコンテンツ提供等、レイヤをまたいだ多様なサービスを一体的に提供することにより、市場支配力を高めている状況となっています。

プラットフォーム事業者は、利用者情報(契約情報、位置情報等)を大量に収集・活用し、多様で利便性の高いサービスを実現していますが、利用者情報の取扱いについては、事業の形態や拠点の設置場所等により、電気通信事業法の一部又は全部が適用されている場合がある点をあげています。

プラットフォームでのネットワークの未来像を見据えた検討課題(案)としては、

・プラットフォーマによる利用者情報等の適切な取扱いの在り方(例:通信の秘密の保護)
・プラットフォーマがネットワークの運用・管理に与える影響を踏まえた規律の在り方 (後掲:ネットワーク中立性)
・国外に拠点を有するプラットフォーマが国内利用者に対して与える影響等を踏まえた適切なルール等の在り方

の3点をあげています。

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出所:総務省 2018.10

インターネットは、「Tier1」、「Tier2」、「Tier3」からなる「階層構造」が基本。近時は、動画トラヒックの増大等に対応して、CDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)が登場する等、関係主体が多様化しています。

トランジット費用やインフラ整備を初めとするコスト負担やネットワークの利用条件は、主に事業者間の相対取引で決まっており、明確なルールは存在しておらず、今後、動画配信サービスの進展等により、ネットワークの増強が見込まれるところ、増大するコスト負担や利用の公平性の確保が課題となる点をあげています。

インターネットでのネットワークの未来像を見据えた検討課題(案)では、

・ネットワークコストの負担の公平性、利用の公平性確保の在り方(例:ネットワーク負荷への寄与度に応じた負担の考え方等)
・耐災害性や地方創生の観点からの関連設備(データセンタ等)や事業者(地域ISP等)の地域分散やインフラ投資促進の在り方
・多様化する料金設定・サービスに関する利用者への透明性確保の在り方(例:ファストレーン、ゼロレーティング)
・ネットワークトポロジーの変化に対応した実態把握の手法の検討

の4点をあげています。

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出所:総務省 2018.10

キャリア・ネットワーク(中継網、加入者回線)、ユーザでは、

NTT東西の電話網は、他事業者向けのハブ機能等の社会的役割を果たしているが、中継網のフルIP化に伴い、NTT東西が果たしてきた役割について、維持や見直し等について検討が求められており、特定の汎用設備を複数の用途に用いることにより、ネットワークの統合的な運用や目的に応じた柔軟な利用が可能となっています。SDN/NFV等の仮想化技術の実装が進展することにより、ネットワーク機能をソフトウェアにより柔軟に制御可能となることから、ネットワーク管理において、設備を設置する電気通信事業者とIoTサービスを提供するユーザ企業等との協調が拡大するとしています。

キャリア・ネットワーク(中継網、加入者回線)、ユーザでのネットワークの未来像を見据えた検討課題(案)では、

・IoTサービスの進展を踏まえた新たな競争政策の在り方(例:次世代の基幹網の在り方、多様なニーズに対応するMVNOの促進、ユーザ企業等の役割増大を踏まえた規律の確保)
・サービスの複雑化、提供主体の多様化を踏まえた消費者保護ルールの在り方
・IP化・仮想化により「設備」と「役務」「機能」の関係が相対化することに伴う安全性・信頼性の確保の在り方
・5Gの進展等、無線サービスの利用拡大等を踏まえた、ユニバーサルサービス制度の在り方

の4点をあげています。

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出所:総務省 2018.10

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