拡大するデジタル貿易の現状と課題
経済産業省は2018年7月10日、「平成30年版通商白書」を公表しました。
今回の白書のポイントでは、世界で拡大するデジタル貿易の現状を紹介するとともに、デジタル貿易が抱える課題についてとりあげており、今回は、デジタル貿易とデジタル貿易の課題について焦点をあててみたいと思います。
世界の越境EC市場は、2014年の2,360億ドルから2020年には9,940億ドルに増加とともに、越境EC利用者も同期間に約3億人から9億人超えを見込んでいます。
出所:経済産業省 平成30年版通商白書 2018.7
中国の2016年のネット小売市場規模は9,394億ドルと、EC化率(19%)と共に既に世界1位となっています。
出所:経済産業省 平成30年版通商白書 2018.7
10年前の世界の時価総額上位企業は資源、銀行、通信が中心でしたが、2018年1月時点の世界の時価総額ランキングをみると、上位10社にアップルを筆頭に、アルファベット(グーグル)、アマゾン、フェイスブック、テンセント、アリババといった米中のITプラットフォーム企業が上位を占めています。
出所:経済産業省 平成30年版通商白書 2018.7
デジタル貿易も課題が山積しています。データの自由な越境流通を阻害するデータローカライゼーション規制、セキュリティ強制規格採用要求、ソースコード開示要求等、データ保護主義的な動きが増加しています。
出所:経済産業省 平成30年版通商白書 2018.7
データに関する新規制が導入されると、自国GDPにマイナスの影響との試算もあり、 ITプラットフォーマーを巡る既存の業種との公正な競争環境の確保
や、消費者保護・安全確保の扱いも課題となっています。