5Gの特徴を生かした地域の社会課題などの解決イメージとは?
総務省は2018年7月11日、「ICTインフラ地域展開戦略検討会 最終取りまとめ(案)」を公表しました。
人口構造の変化やICT利活用の高度化等を踏まえ、2020 年の5Gの実用化も見据 えて5Gや光ファイバ等のICTインフラの地域における利活用方法を幅広く検討し、地域への普及展開 を促進するための新たな戦略を策定しています。
主な検討事項は、
(1) 5G・光ファイバ等のICT利活用による地域課題の解決モデル
(2) 5G・光ファイバ等のICTインフラの今後の地域における整備のあり方
となっています。
5Gの特徴を生かした地域の社会課題等の解決イメージでは、①高齢者のモビリティ確保、②農業等地場産業の興隆、③働き方改革、④防災・減災などをあげています。
出所:ICTインフラ地域展開戦略検討会 最終取りまとめ(案)2018.7
ICTインフラ地域展開戦略の全体像では、•5G、光ファイバ等の高度なICTインフラの整備により、地域課題に対するICTソリューションの高度化が期待されるとしています。
出所:ICTインフラ地域展開戦略検討会 最終取りまとめ(案)2018.7
5G・光など高度なICTインフラで広がる可能性をそれぞれみてみましょう。
地場産業の興隆(酒造産業を例とした、生産、販売拠点の次世代ICT化)では、5G・4G/LTEやLPWA、無線LANを組み合わせ、生産、販売拠点を直結。高度なICTを積極的に導入して生産性向上及び効率化を達成するイメージを紹介しています。
出所:ICTインフラ地域展開戦略検討会 最終取りまとめ(案)2018.7
観光客の誘引(WEBサービスを活用したインバウンド誘客)では、LPWA通信やIoTの普及により、観光客に関するより多様かつ正確なデータの取得が可能となり、根拠に基づいた効果的なマーケティングが実現。光ファイバーなどの高速通信網が普及することにより、一層臨場感のあるコンテンツ(高精細映像やVRによる仮想探索など)による誘客が可能になる。
としています。
教育の充実(ICTを活用した効果的・効率的な教育の実現)では、5Gの高速無線通信により、自宅でのタブレット活用がしやすくなり、宿題や自主学習などを含め総合的なICT学習が可能になる。5Gによって、大容量の4k/8kの高精細映像が伝送可能となり、他地域のクラスにリアルタイムに遠隔参加ができるようになるほか、映像教材の利用においても、生物・美術等をより本物に近い形で観察・学習できるようになる。
としています。
自動運転の実現(車を持たずに安心して暮らせる交通基盤)では、5G等の高度なICTインフラとAIによって、自動運転車が実現。 車両や道路等に設置される大量のセンサーが全て、5Gネットワークに接続され、リアルタイムなセンサーデータの共有が可能。周囲の交通状況に対して、動的な車両制御を行うことで、高度な自動運転が実現。自動運転車の運転データは、ビッグデータとして、処理・分析され、ほかの車両や公共交通機関の運行・配車の最適化に活用
できるとしています。
医療介護の充実(救急分野の高度化)では、救急搬送中の救急車内から患者の容体を5Gによる高精細映像で中核病院へ伝送が可能となる。重傷外傷対応時の受傷部位や心疾患対応時の心電図データを、高精度の動画での共有が可能に
なるとしています。
安全で安心なまちづくりの実現(消防防災分野の高度化)では、5Gの超高速・多数同時接続が可能という特徴によって、ドローンや消防隊等災害対応にあたる行政職員等が身につけるウェアラブルカメラ等の映像を同時にかつリアルタイムに伝送可能。映像は現場や災害対策本部等の全ての拠点に伝送されるため、傷病者や災害の全体像が即時に把握・共有でき、効果的な避難指示等が行われる。5Gが都市圏だけでなく地域に展開されると、5Gを活用した災害情報伝送・共有のシステムは全国で利用できる。災害時においては、地域を越えた自治体間の連携が可能。
としています。