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「デザイン経営」の定義と実践

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経済産業省・特許庁は2018年5月23日、デザインによる日本企業の競争力強化に向けた課題の整理とその対応策の検討を行うため、平成29年7月に、著名デザイナー、デザイン担当役員、知的財産担当、経営コンサルタント、学者からなる「産業競争力とデザインを考える研究会」を立ち上げ、議論を進め、『「デザイン経営」宣言』として報告書を取りまとめを公表しました。

気づいた潜在的なニーズを、企業の価値と意志に照らし合わ誰のために何をしたいのかという原点に⽴ち返ることで、既存の事業に縛られずに、事業化を構想するデザインを活⽤した経営⼿法を「デザイン経営 」と呼んでいます。

「デザイン経営 」の効果は、ブランドとイノベーションを通じて、企業の産業競争⼒の向上に寄与するとしています。

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出所:『「デザイン経営」宣言』として報告書を取りまとめ 2018.5

「デザイン経営」とは、デザインを企業価値向上のための重要な経営資源として活⽤する経営であり、デザインを重要な経営資源として活⽤し、ブランド⼒とイノベーション⼒を向上させる経営の姿でであるとしています。

本報告書では、「デザイン経営」と呼ぶための必要条件は、以下の2点をあげています。

① 経営チームにデザイン責任者がいること
② 事業戦略構築の最上流からデザインが関与すること

デザイン責任者とは、製品・サービス・事業が顧客起点で考えられているかどうか、⼜はブランド形成に資するものであるかどうかを判断し、必要な業務プロセスの変更を具体的に構想するスキルを持つ者

と定義しています。

このような「デザイン経営」を実践するためには、企業において、複数の取り組みを⼀体的に実施することが望ましい。例えば、デザイン⼿法
による顧客の潜在ニーズの発⾒や、 アジャイル型開発プロセスなどにより、企業のイノベーション⼒を向上させることができるとし、「デザイン経営」のための具体的な取り組みを整理しています。

「デザイン経営」のための具体的取組

①デザイン責任者(CDO,CCO,CXO等)の経営チームへの参画
デザインを企業戦略の中核に関連付け、デザインについて経営メンバーと密なコミュケーションを取る。
② 事業戦略・製品・サービス開発の最上流からデザインが参画
デザイナーが最上流から計画に参加する。
③ 「デザイン経営」の推進組織の設置
組織図の重要な位置にデザイン部⾨を位置付け、社内横断でデザインを実施する。
④ デザイン⼿法による顧客の潜在ニーズの発⾒
観察⼿法の導⼊により、顧客の潜在ニーズを発⾒する。
⑤ アジャイル型開発プロセスの実施
観察・仮説構築・試作・再仮説構築の反復により、質とスピードの両取りを⾏う。
⑥ 採⽤および⼈材の育成
デザイン⼈材の採⽤を強化する。また、ビジネス⼈材やテクノロジー⼈材に対するデザイン⼿法の教育を⾏うことで、デザインマインドを向上させる。
⑦ デザインの結果指標・プロセス指標の設計を⼯夫
指標作成の難しいデザインについても、観察可能で⻑期的な企業価値を向上させるための指標策定を試みる。

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