日本の経済財政シナリオは「経済再生」から現実的な「成長実現」ケースへ
内閣府は2018年1月23日、「平成30年第1回経済財政諮問会議」を開催し、 中長期の経済財政の展望について、議論・検討を行っています。
経済シナリオと中長期的なマクロ経済については、昨年の経済財政諮問会議において「経済再生ケースについては、過去の実績も踏まえた現実的なシナリオにすべき、ベースラインケースは足元のトレンドで着実に推移する姿を示すべき」との指摘があったことから、「経済再生ケース」から「成長実現ケース」へシナリオを設定しています。
出所:平成30年第1回経済財政諮問会議 2018.1
今回試算の成長実現ケースでは、実質GDP成長率は、 2020年度に1.5%、2020年代前半に2.0%に達することを見込んでいます。名目GDP600兆円の達成時期は2020年度から2021年度への1年ずれこんでいます。
出所:平成30年第1回経済財政諮問会議 2018.1
財政の想定と中長期の国・地方の財政の姿では、
・ 2019年度以降の歳出については、社会保障歳出は高齢化要因や賃金・物価上昇率等を反映して増加し、それ以外の一般歳出は物価上昇率並に増加する想定であり、歳出改革を織り込まない、いわゆる歳出自然体。また、消費税増収分の使い道の見直しによる「新しい経済政策パッケージ」の実施を反映。
・ 成長実現ケースにおける基礎的財政収支対GDP比は、2020年度▲1.8%(▲10.8兆円)となり、基礎的財政収支の黒字化は、昨年7月試算よりも2年遅れて2027年度となる。
・ 成長実現ケースにおける財政収支対GDP比は、当面は基礎的財政収支の改善と低金利の効果により改善するものの、金利の上昇により、徐々に改善ペースは緩やかになっていく。
・ 公債等残高対GDP比は、成長実現ケースでは今後、低下が見込まれる(注) 。一方、ベースラインケースでは、2020年代半ばにかけて低下ペースが緩やかになり、2027年度以降上昇していく。
としています。
出所:平成30年第1回経済財政諮問会議 2018.1