「未来の教室」とEdTech研究会
経済産業省は2018年1月19日、「未来の教室」とEdTech研究会(第1回)を開催しました。
開催趣旨は以下のとおりです。
○ 米国・中国・シンガポールをはじめ、革新的な教育技法(EdTech)の開発と教育現場の改革が進行し、世界的に人材開発競争が激化する中、日本経済・地域経済の未来を切り拓く人材の育成を進めるべく、就学前教育・学校教育・リカレント教育の現場が目指すべき「未来の教室」の姿と、必要な EdTech の開発・導入に向けた課題を検討する新たな研究会を開催する。
○ 経済産業省「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」において議論されている「育成すべき産業人材像」を踏まえ、人生 100 年を通じた教育・能力開発ステージ(就学前・初等・中等・高等・リカレント)の課題を整理する。
○ その上で、米国・中国・シンガポール等で急速に進展する EdTech イノベーションと、国を挙げた教育改革の進展を把握しつつ、我が国の学校教育・企業研修等の現場が目指すべき「未来の教室」の姿と、そのために必要なEdTech の開発・導入の課題と対策について検討する。加えて、中国・東アジア市場等 EdTech 需要の拡大している市場を中心とした海外市場展開の支援策も検討する。
「第4次産業⾰命」の時代、世界では「創造性」「課題設定・解決⼒」を軸に⼈材開発競争が進んでいます。こうした中、デジタル技術等を活⽤しつつ学習個別化・創造性向上・⽂理融合等を可能にするEdTechイノベーションの波が⽶国から中国をはじめ世界中に及び、各国の教育現場でEdTechを活⽤した「学びの⾰命」が進んでおり、2020年の世界市場規模は(2015年実績の2倍以上の)11兆円超との予測もあります。(世界の⼈材開発競争・学びの⾰命)
出所:経済産業省 「未来の教室」とEdTech研究会(第1回) 2018.1
未来の産業・地⽅創⽣に必要な⼒ として、誰もが「チェンジ・メイカー」の資質が求められています。世界の潮流を踏まえると、我が国の産業や地⽅創⽣の現場においても、誰もが「チェンジ・メイカー」(どんなに⼩さくとも("50㎝⾰命")、⾃ら「問い」を⽴て、解決に乗り出し、変化を⽣む⼈)の資質を⼿にすべき時代が到来しているのではないかという指摘をしています。
「チェンジ・メイカー」を⽣む(と同時に教員の負担軽減につながる)就学前・初等中等・⾼等・リカレントの各教育段階の「未来の教室(学び場)」を、EdTechを活⽤しながら⽣み出していくことの必要性を示しています。
経済・社会の環境の変化では、
1.「第四次産業⾰命」の到来
-⼈材の「創造性」「課題設定・解決⼒」が国家の産業競争⼒を左右する時代2.「⼈⽣100年時代」の到来
-社会システムを再デザインすべき時代
-⽣涯学び続け・変化し続け・稼ぎ続ける時代3.「グローバル化」の更なる進展
-イノベーションは「世界中の知」を集めて⽣む時代
となっています。
未来の教室とEdTechに求められるもの(仮説)として、
① 全ての基礎たる「⾮認知能⼒」の向上
②「社会・仕事・趣味」と「学び」の接続強化
③「学⼒・スキル」向上の個別化・効率化
をあげています。
経済産業省では、学びと社会の連携促進事業として、平成29年度補正予算案額 25.0億円を予定しています。
事業イメージとして
(1)⾰新的な能⼒開発技法(EdTech)の創出、導⼊ガイドライン策定
(2)社会課題の発⾒・解決に向けた実戦の場の創出
(3)中⼩企業における将来の中核⼈材候補に向けた育成
をあげています。
本研究会において、議論を深めていく議論(例)として
1.就学前教育
(1)成⻑の基礎となる⼒の開発
(2)保育⼠の「働き⽅改⾰」の推進2.初等・中等教育
(1)「創造性」「課題発⾒・解決能⼒」の開発
(2)教員の「働き⽅改⾰」の推進3.⾼等・リカレント教育
(1)「創造性」「課題設定・解決能⼒」の開発
(2) ⽣涯現役の「ビンテージ(Vintage)な⼈⽣」に必要な能⼒開発4.共通課題
(1)教育EBPM(エビデンスに基づく教育イノベーション)
(2)教育現場がEdTechを導⼊する上での諸課題(市場構造・ファイナンス等)
(3)Edtechサービスの海外市場展開
などをあげています。