アクティブ・ラーニングと ICT の活用に関する指導力の育成
文部科学省は2017年11月、「ICTを活用した教育推進自治体応援事業(ICTを活用した学びの推進プロジェクト)報告書」を公表しました。
本報告書から、今回は、アクティブ・ラーニングと ICT の活用に関する指導力の育成について、紹介をしたいと思います。
「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」では、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて、日々の授業を改善していくアクティブ・ラーニングの視点を教員で共有し、協働して取り組むことが、学びの質を高めていくこととなるとしています。
発達の段階や子供の学習課題等に応じた学びの充実には、ICT が効果的に 活用されることに期待が寄せられており、以下の図が、「情報に関わる資質・能力について(平成 28 年 1 月 18 日 総則・評価特別部会 資料 2-1)」に掲載されたもので、アクティブ・ラーニングの視点に立った学習プロセスに、ICT の特性・強みを埋め込んでいるイメージとなっています。
出所:文部科学省 2017.11
ICT 活用の特性・強みについて、以下のようにまとめられています。
① 多様で大量の情報を収集、整理・分析、まとめ表現することなどができ、カスタマイズが容 易であること
② 時間や空間を問わずに、音声・画像・データ等を蓄積・送受信できるという時間的・空間的 制約を超えること
③ 距離に関わりなく相互に情報の発信・受信のやりとりができるという、双方向性を有すること
ICT の特性・強みを、「主体的・対話的で深い学び」の実現につなげ、子供たちが情報技術を手 段として活用できる力を育むためにも、学校において日常的に ICT を活用できるような環境づく りとともに、教員が学びの質を高める ICT の活用方法について理解、習得しなければならないとしています。
具体的には、国語科で はコンピュータを用いて情報を収集し、それらを多面的・多角的に吟味することができ、大型ディスプレイ等を用いて発表したり互いの情報を交流させたりして、他者の感想や意見を基に自分の考えを広げ深めることもできるとしています。
上記のような、アクティブ・ラーニングの視点に立った学習プロセスにおける ICT の効果的活用を具現化するには、教員が授業中に ICT を活用して指導する能力が不可欠となる。平成 27 年度 学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)では、授業中に ICT を活用して指 導できる教員は全体の 73.5%(前年比:2.1 ポイントアップ)となっている。文部科学省は 2020 年までに 100%の達成を目標に置いています。
これら目標に近づくためには、ICT 活用の指導力育成 に関する、個人差やキャリアステージに応じた多様な研修形態を持ち得た(研修)プログラムを、 教育委員会と大学が連携して準備する必要があるとしています。