平成27年版情報通信白書(3)2030年の未来像
総務省は2015年7月28日、「平成27年版情報通信白書」を公表しました。
今回は、第6章 2030年の未来像―ICTが創る未来のまち・ひと・しごと について紹介したいと思います。
ICTの未来年表は以下のとおりとなっています。
個人的に2025年以降の関心の高い項目をあげていたいと思います。
2025年
- 自動車走行が市場に登場する
- 人工知能を搭載したインテリジェント住宅が登場、住宅と会話する時代へ
- 建設現場で「パワードスーツ」の導入開始
- 将棋プログラムはプロ棋士に比べ圧倒的に強くなる
2026年
- 一般家庭で介護、家事など支援するロボットが実用化
2027年
- 災害援助ロボット技術が社会実装 自律型の深海動作作業ロボットが実用化
2028年
- 高齢者の外出を促すアシストネットワークロボットが実用化
2029年
- 生産工程変更等、複雑な環境変化に対応できる自律型ロボット
2030年
- 社会に参加できない人の社会参加を可能にする
- 遠隔操作型ヒューマノイドロボット技術が実用化
- 自律走行車が完全自動で走行
- 人工知能が人間と自然な会話ができるようになる
- 生物や整体の多様なメカニズムを模様したコンピューティング・ネットワーク技術の実用化
出所:総務省「通信自由化以降の通信政策の評価とICT社会の未来像等に関する調査研究」(平成27年)
情報通信白書には、2030年頃、ICTによってどのような社会が実現すると期待されるかを、未来の「まち」「ひと」「しごと」という3つの観点から、まとめています。
「まち」の分野
IoT化の進展により、交通システム・物流システムをはじめとした様々な社会システムがICTによる最適制御の対象となっていく。その中で、自動走行車が実用化され、人々は渋滞や事故の心配なく目的地まで迅速かつ安全に移動できるようになる。道路や橋等のあらゆる社会インフラがスマート化され、維持・管理の低コスト化に貢献するとともに、災害時の安全性も大きく向上することが予想される。
経済の分野
ビッグデータの活用があらゆる産業に浸透し、製造業だけでなく、サービス業や農林水産業、医療・福祉業等の地域経済の中核となる産業の生産性が向上していく。同時に、これらの産業分野でのロボット活用も本格化し、人手不足の解消と更なる生産性の向上が図られるとともに、新たなイノベーションが生み出されていく。
「ひと」の分野
ウェアラブルデバイスを通じた緻密な健康管理が一般化する結果、多くの人々が年をとっても健康に暮らせるようになる。また、ロボットが家事や介護など、生活の様々な場面で人々の暮らしをサポートするようになるとともに、コミュニケーションの良きパートナーとしても定着していく。さらに、多言語自動翻訳の実用化により、コミュニケーションにおける言葉の壁は取り払われ、異なる国や文化圏に属する人々の間の相互理解が今以上に進むことだろう。
「しごと」の分野
ロボットを含むICTによる雇用代替が進む結果、人間の役割はより創造性の高い仕事へと次第にシフトしていき、広い意味でのICT活用能力が更に重要性を増していく。また、サービス業におけるシェアリング・エコノミーの台頭や、製造業における「メイカー・ムーブメント」の登場にみられるような、経済活動における個人の役割の拡大も加速する。そうした中、テレワークのようなICTを活用した柔軟な働き方は、あらゆる人々がそれぞれの事情に応じて社会参加し、自分に適した場所、自分に適した環境でその創造性を最大限発揮するための手段として、広く浸透していくことだろう。
ICTを利活用した未来社会のイメージは以下のとおりです。
コネクテッドカーや自律走行車による安全な道路交通、ロボットによる移動や買い物などの生活支援や、パートナーロボットとのコミュニケーションや育児・介護支援や、暮らしのサポートなどのイメージが紹介されています。
ひとは、多言語による自動翻訳により言葉の壁は解消し、ICTやロボットが人間の作業を支援し、人材不足の解消や生産性の向上、産業構造の変化が起きるとしています。ウェアラブルデバイスを通じて健康管理や疾病リスク評価、バーチャルな習い事なども紹介されています。