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民生分野における宇宙インフラや宇宙システム利用推進の方向性 〜宇宙政策委員会 中間取りまとめ(案)から〜

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政府は2015年6月24日、宇宙政策委員会 第40回会合を開催し、「宇宙政策委員会 中間取りまとめ(案)」を公表しました。

中間取りまとめ策定の趣旨は、

今後、安全保障・民生の両分野において宇宙利用を継続的に拡大し、これを支える宇宙産業の投資の予見可能性を高く維持するため、宇宙基本計画に明示された機数や年限に従って着実に人工衛星等を整備し、また施策を実行に移していくことが不可欠である。宇宙政策委員会としては、宇宙基本計画を着実に実施することを関係府省に強く求める。

こととし、検討すべき項目として

(1) 準天頂衛星システムの利活用の促進等(工程表2) [内閣府、国土交通省等]
(2) (衛星リモートセンシングの)利用ニーズの各プロジェクトへの反映(工程表 3)[内閣府等]
(3) 即応型の小型衛星等(工程表 6)、即応型の小型衛星等の打ち上げシステム(工程表 20) [内閣官房、内閣府、文部科学省、防衛省等]

など、19の項目をあげています。

また、別添では

別添1宇宙活動法に関する基本的考え方(案)
別添2衛星リモートセンシング法等に関する基本的考え方(案)
別添3民生分野における宇宙利用の更なる推進のための検討の方向性(案)
別添4宇宙システム海外展開タスクフォース(仮称)(案)

をあげており、

今回は、「別添3民生分野における宇宙利用の更なる推進のための検討の方向性(案)」を中心にまとめてみたいと思います。

政府では、民生分野における利用推進におけるさらなる検証・検討・施策の具体化に向けて

(1) 公共分野における高度化・効率化 準天頂衛星やリモートセンシング衛星等の宇宙インフラを活用して地理空間情報を高度に利活用する社会(G 空間社会)をさらに高度化させ、これによって都市や地域の全体を継続的に把握することを可能とし、社会インフラの整備・維持や防災・災害対策等の公共分野の高度化・効率化を進める。

(2) 関連する新産業の創出 宇宙インフラとビッグデータ解析技術や IoT(Internet of Things)等を融合させ、交通・物流、農林水産、個人サービス・観光等の分野における自動化・無人化・省力化や農林水産・防災・災害対策・資源・エネルギー等の分野における予測の精度向上・リスク低減を進め、既存産業の高度化・効率化や宇宙に関連した新産業・新サービスを創出する民間事業者の取組を後押しする。

(3) 公共・産業両分野における海外展開 上記の取組に当たっては、宇宙システムの特徴の一つである「広域性」にも配意し、国内に加え、諸外国への展開を当初から念頭に置き、宇宙を活用した内外一体の新たな経済成長(ニューエコノミー)を目指す。その際、平成 32 年(2020 年)の東京オリンピック・パラリンピック等の機会をとらえた先導的な社会実証実験等により、宇宙利用がもたらす「未来社会」を国際的に発信し、諸外国において宇宙を活用したフロンティア市場の開拓を進める。

といったように、公共分野では地理空間情報の高度化や、宇宙インフラとビッグデータ解析、IoTなどを融合させた交通や農林水産業などへの新サービスの創出、さらには、海外展開なども視野にいれています。

具体的なアプローチをみていきましょう。

(1) 公共分野における高度化・効率化

① 社会インフラ整備・維持
・ 準天頂衛星システムを含む関連宇宙インフラによる高精度位置情報等を活用 し、建機等の制御等による効率的施工(情報化施工)に取り組むとともに、構造物 の変位モニタリング等による社会インフラの維持管理の効率化に向けた研究開発に取り組む。

② 防災・減災
・ 準天頂衛星システムを含む関連宇宙インフラによる高精度位置情報を活用した 異常検知システム、メッセージ通信機能を活用した安否情報確認システム、災害 情報配信システムを実用化し、リアルタイム防災・災害対策の実現に取り組む。
・ 宇宙インフラと地理空間情報を組み合わせた技術の活用により、自治体等による 適切かつ効果的な災害対応の実現を目指す。これらを踏まえ、リモートセンシン グ衛星等の宇宙システムに由来するデータを、国、地方公共団体、関係機関、民 間等が防災対策に活用するための体制の強化を図る。

社会インフラの整備・維持は、IoTに代表されるように、建機や社会インフラなどにとりつけられたセンサーから収集されるデータを活用した効率的な管理が注目されていますが、これらのデータと宇宙インフラの高精度位置情報などと連携して活用することで、より精度の高い維持管理が期待されるところです。

(2) 関連する新産業の創出

① 交通・物流
・ 高度道路交通システム(ITS)分野については、戦略的イノベーション創造プログ ラム(SIP)「自動走行システム」における衛星測位活用に向けた調査・検討等と緊密に連携し、準天頂衛星システムを含む関連インフラによる高精度位置情報を活 用し、信頼性の高い車両走行位置制御技術の実現に取り組み、民間事業者等を 後押しするための環境を整備する。
・ 物流分野については、準天頂衛星システムを含む関連インフラによる高精度位置情報を活用した物流管理・配送管理技術や無人機による貨物輸送技術の実現 に取り組み、民間事業者等を後押しするための環境を整備する。

② 農林水産
・ 農業においては、農業従事者が減少する中、大幅な省力化を実現し、農業生産の維持を図るほか、低コスト化や生産性の向上を図るため、SIP(次世代農林水 産業創造技術)における農業機械の自動走行技術の研究開発等と緊密に連携をしながら、無人農業機械やリモートセンシング等による高度生産管理技術の導入 に向けて取り組み、平成 30 年度の準天頂衛星サービス開始後の実用化を目指 す。林業においては、衛星や航空レーザー等のリモートセンシング技術及び森林 クラウド等 ICT 技術の活用により、森林情報を共有できる仕組みを構築すること で、林業の生産性向上を目指す。

③個人サービス・観光
・ 個人サービス分野については、準天頂衛星システムを含む関連インフラの整備 を進め、高精度位置情報を活用した高齢者・子ども等の見守りサービスの実現に 取り組み、民間事業者等を後押しするための環境を整備する。
・ 観光分野については、準天頂衛星システムを含む関連インフラの整備を進め、高 精度位置情報と諸外国で高い人気を誇る我が国のマンガ・アニメ等のコンテンツ を活用し、世界に先駆けた観光サービスの展開に取り組み、民間事業者等を後押しするための環境を整備する。

特に、農林水産においては、農業従事者の高齢化や農林水産の維持などが、重要なテーマとなっており、無人農業機械やリモートセンシング等による高度生産管理技術の導入などの活用が期待されるところです。

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出所:出所:宇宙政策委員会 第40回会合 各工程表の成果目標 2015.6

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