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データカタログサイト本格版の提供に向けたデータ掲載と地方公共団体の位置づけ

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IT総合戦略本部は2014年7月18日、「第7回電子行政オープンデータ実務者会議」を開催し、今後のデータカタログサイト本格版に向けての考え方などを公表しています。

データカタログサイト本格版の構築に係る入札について、5月 22 日に公示し、10 月1日から稼働予定となっています。

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データカタログサイト試行版 http://www.data.go.jp/

現在のデータカタログサイト試行版に対して、本格板提供に向けて以下の改善を実施予定となっています。

・検索インターフェースの改善
トップページへの検索窓の配置や検索窓へ集合検索オプション(複数の検索キーワードの and 条件、or 条件、not 条件)を配置する。

・データカタログの表示の英語対応強化
英語インターフェース利用時において、一定の選択肢の中から選択して設定されるメタデータ項目について、表示される値の切替え、日本語・英語のタグの両方を登録すること、のどちらかにより英語表記範囲を拡大する。

・複数のデータセット等のメタデータのダウンロード
データセットの一覧画面やデータセットの表示画面(リソースの一覧)に、ダウンロードしようとする対象のデータセットやリソースを選択するためのチェックボックス等を表示するとともに、メタデータのダウンロードリンクやボタンを表示し、データセットやリソースに付与されたメタデータをJSON形式やRDF形式でダウンロードできるようにする。

・APIで取得できるメタデータの拡大
試行版において、APIを利用してメタデータを取得する際に RDF 形式で取得できない項目があったが、本格版においては、データセットやリソースに付与された全てのメタデータ項目を取得することができるようにする。

 

データカタログサイト試行版においては、最初の取組として重点5分野(白書、防災・減災情報、地理空間情報、人の移動に関する情報、予算・決算・調達情報)のデータを中心に掲載していましたが、本格版への移行により、それ以外のデータも掲載していくことの必要性を示しています。

今回のデータカタログサイト本格板のグループ設定にあたっては、政府統計の総合窓口 e-Stat で使用されている分類(下表の 17 分類)をグループの項目とし、データセットごとに該当のグループを選択していくとしています。

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出所:第7回電子行政オープンデータ実務者会議 2014.7.18

データカタログサイトのメタデータのタグでは、以下の項目を示しています。

(1)G8の重要データカテゴリ(16項目)
 統計、地図、選挙結果、予算・決算、企業、犯罪と司法、地球観測等

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出所:第7回電子行政オープンデータ実務者会議 2014.7.18

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出所:第7回電子行政オープンデータ実務者会議 2014.7.18

(2)「行政情報の電子的提供に関する基本的考え方(指針)」記載の「カテゴリー」(16分類)
 組織・制度の概要、所管の法人、所管の法令、告示・通達等、国会提出法案、審議会、研究会等 等

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出所:第7回電子行政オープンデータ実務者会議 2014.7.18

(3)電子行政アクションプランにおける業務分類(31項目)
 日本標準産業分類の大項目(20項目)と総務省統計局の統計分野から産業の観点で不足する11個の分類
 農業,林業、漁業、鉱業,採石業,砂利採取業、建設業 等

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出所:第7回電子行政オープンデータ実務者会議 2014.7.18

(4)重点分野(試行版における重点5分野に統計とコードを加えた7分野)白書(年次報告)、防災・減災関連情報、地理空間情報、人の移動・ツーリズムに関する情報、予算、決算、調達関連情報、統計情報、コード情報

データの掲載にあたっては「① データカタログサイトに掲載するデータの範囲」と「② データカタログサイトに掲載するデータの範囲」の2つの整理が必要としています。

① データカタログサイトに掲載するデータの範囲 では、データセットやリソースに付与されたメタデータを利用して横断検索機能を提供できるようにし、サイトの位置づけ、機能等を踏まえ、適用される利用ルール、データ形式、データの内容等の観点で、掲載するデータの範囲について、整理が必要としています。

データカタログサイト試行版のアクセス状況では、機会判読可能なデータへのアクセスが多いという状況となっています。現在の試行版ではPDFの比率が高い状況となっており、より多くの機会判読可能なデータの掲載が期待されます。

また、地方公共団体のオープンデータの取組を促進するため、自治体が自治体の公式ページなどで公開している二次利用可能なオープンデータのメタデータをIT総合戦略室に提出することで、データカタログサイトへの掲載を希望する地方公共団体がある場合には、そのデータをデータカタログサイトに掲載することとしたいと明記されています。

鍵をにぎる自治体のデータ公開

政府のオープンデータの推進にあたっては、データカタログサイト本格板による機会判読可能なデータ形式での公開でより検索しやすい環境で分野別に利用できることが期待されています。

一方で、自治体を始めとした地方公共団体によるデータ公開は、一部自治体間で共通プラットフォームとして利用していく取り組みも始まっていますが、多くは各自治体の独自性に依存しているものが多いのが現状です。

「世界最先端IT国家創造宣言 工程表」が平成 26 年6月 24 日に一部改定され、地方公共団体の保有する公共データのオープンデータの取組の促進にあたって、 データカタログサイト掲載データの利用促進のためのユーザーとの双方向の対話や、国・自治体のデータの活用による中堅企業のビジネス可能性拡大について活用事例集の作成などの項目が盛り込まれています。

また、今回のデータカタログサイト本格板提供にあたって、自治体を始めとした地方公共団体のデータカタログサイト本格板への掲載の方向性が示されている中、どの程度、政府のデータカタログサイト本格板に掲載されるのか、今後の日本におけるオープンデータの取り組みを占う上でも注目されるところです。

 

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