クラウド市場規模は前年比56.0%増の607億円。成長の背景は、クラウドインテグレータ、クラウドブローカーによるエコシステム形成とビッグデータによる新規ビジネス
調査会社の矢野経済研究所は2014年7月23日、「クラウド基盤サービス(IaaS/PaaS)市場に関する調査結果 2014」を公表しました。
出所:出所:矢野経済研究所 クラウド基盤サービス(IaaS/PaaS)市場に関する調査結果 2014 2014.7.23
2013年のクラウド基盤サービス市場規模は前年比56.0%増の607億円と大きく拡大し、中でも2013 年は、これまでのECサイトやバックアップなどの利用から、社内業務システム基盤としての活用の増加により、パブリッククラウドの利用拡大を後押し、市場は普及期に突入しているとしています。また、新規ビジネスではビッグデータを活用したビジネスが牽引をしています。
成長の背景には、クラウド基盤サービス提供事業者とユーザー企業の仲介や、導入や運用を支援するクラウドインテグレーターやクラウドブローカーの動きが活発化し、エコシステムが形成されるとともに、クラウド同士やクラウドとオンプレミスをつなぐハイブリッドクラウド環境を支援するサービスが多数提供されることで、これまで以上にクラウド基盤を利用しやすい環境が整いつつあるとしています。
2014年のクラウド基盤サービス市場規模は前年比50.9%増の916億円、2015年には1,293億円、2017年には2,196億円と、成長率は鈍化するものの引き続き順調に拡大していくと予測しています。
今後のさらなる市場の拡大には、中堅・中小企業のクラウド利用を促進させる必要があり、そのためには、パッケージソフトウェアをクラウド基盤上で稼働させたいというユーザーニーズに応えるため、クラウドサービス事業者がパッケージベンダーを自社エコシステム内に取り込み、自社環境での稼働検証を進めて行く必要があるとしています。
クラウドエコシステムやビッグデータビジネスへの対応は、AWSを始めとした外資系事業者がリードしているのが現状です。今後、クラウドサービスの市場の成長性は予想されるものの、価格競争やサービス機能の充実など競争が激化する中で、事業者淘汰の可能性も指摘されています。クラウドビジネスで市場を確保し、自社のサービスで差別化を打ち出していくとともに、エコシステムの形成とビッグデータや IoT、異業種連携などの新規ビジネスへの対応による収益モデルの確立が勝敗の分かれ目となっていくでしょう。