オルタナティブ・ブログ > 『ビジネス2.0』の視点 >

ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

第17回 CloudStackユーザー会に参加して

»

2014年5月20日に開催された「第17回 CloudStackユーザー会」に、だいぶ遅刻をしましたが、参加してきました。


第17回 CloudStackユーザー会 模様

初心者向けの「CloudStack概要・再入門~いまさら聞けない!?CloudStackとは~」や「CloudStack Collaboration Conference North America 2014参加報告」、「CloudStack上へのデスクトップ仮想化環境の展開」などについてのプレゼンがありました。

写真: パネルディスカッション「CloudStackとOpenStackは何がどう違うのか?」

後半は、「パネルディスカッション ~CloudStackとOpenStackは何がどう違うの?~」で、日本OpenStackユーザ会と日本CloudStackユーザ会のメンバーが意見交換をしました。

OpenStackは、各機能をメッセージキューやHTTP RESTでつなぐ疎結合が特徴で、Nova(仮想サーバー)やSwift(オブジェクトストレージ)などのコンポーネントで構成されています。

OpenStackもCloudStackもともにIaaSとPaaSの境目がなくなってきており、OpenStackは4月17日に9番目のリリース「Icehouse」を提供し、データベースサービス(Trove)が正式版として提供されています。

OpenStackはPayPalや大手企業などにも利用されており、日本ではYahoo! JapanやGREEやmixi、サービス事業者ではNECやGMOインターネットなどが採用しています。

OpenStackもCloudStack双方ともコミュニティが盛り上がっており、勉強会やドキュメント作成(翻訳)、コードリーティングなど普及に向けて様々な取り組みが紹介されました。OpenStack、CloudStack双方ともこれまで17回の勉強会を開催しています。

OpenStackユーザ会では、インフラの集団から、アプリケーション開発者の輪を広げていく企画を進めていきたいとことでした。またAWSのクラウドデザインパターンのように、OpenStackのデザインパターンも検討していきたいとのことでした。

次にOpenStackやCloudStackの良いところ(優れているところ)が紹介されました。

image
各ユーザ会の良いところ

OpenStackの良いところは、NOVAやSwiftなどのコンポーネント別に利用できるため、すべての機能を使わなくてもよく、プラグインを使い実装を隠蔽できるといったメリットも紹介されました。また、OpenStack Foundationに参加する企業も増え、コントリビューションも増えており、エコシステムも拡大傾向にあるということです。

一方、CloudStackはは、できあがりのイメージが明確な点や、少数精鋭のコミュニティ、CloudPlatformユーザからのフィードバックとガバナンス、大規模環境での実績(約40000ホスト)の実績などが紹介されています。日本国内では、NTTコミュニケーションズやIDCフロンティア、KDDI、インテック、GMOクラウドの多くの商用でのクラウド事業者が採用している点も優位点といえるでしょう。

次に各ユーザ会から相手のユーザ会のうらやましい点が紹介されました。

OpenStackユーザ会からのOpenstackユーザ会の羨ましい点は、

ClouStackユーザ会は楽しそう(女性比率が多い)
日本の事例が多い
駆け込み寺がある(シトリックス)

の3つがあげられています。

CloudStackユーザ会からのOpenStackのうらやましい点は

注目度や盛り上がり、多数の企業による投資
ユーザ会のメールがコンスタントに活発、翻訳が熱い、本が熱い
疎結合のアーキテクチャー

の3つがあげられています。

image

最後にOpenStackとCloudStackの弱点について会場から質問が出ました。

OpenStackは、無停止アップグレードはできないので、注意が必要という点は紹介されています。OpenStackはアップグレードが頻繁にあるために、商用サービスや自社で構築している場合は平行運用などの対策が必要となるでしょう。

CloudStackの場合は、以前のバージョンでは仮想ルーターが落ちるなどの脆弱性が紹介されましたが、今は解決されているようです。

最後に今後のユーザ会のプロジェクトの方向性について各ユーザ会からコメントがありました。

ClousStackは、大きな方向感は決まっていないものの、シトリックスの実装に左右される点や、AWSライクなデザインを目指しているという印象をもっているとのことです。プロジェクトはApacheプロジェクトのプロセスに準拠している点も紹介されました。

OpenStackは、より楽に安心して使えるように、導入支援ツールやアップグレード手段の整備(TripleO;OpenStack on OpenStack)、OpenStackの条件を満たせば、OpenStack Market Placeに掲載される点が紹介されるとのことです。

最後に懇親会会場を提供されたIDC フロンティア社からIDCFクラウドが紹介され、キャンペーンやオブジェクトストレージのサービス開始の案内などをされました。

ユーザ会の参加者には、CloudStackユーザ会のTシャツも配られました。

最後に懇親会です。

image

今回のユーザ会は、初心者向けの内容も多く、参加者層もこれまでとは違う層の方々も参加されているという印象でした。

 

Comment(0)