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ビッグデータ時代におけるデータ・サイエンティストの存在(1)深刻化する人材不足

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2012年10月16日に開催された『IT Initiative Day 2012 Big Data & Business Analytics Special』の最後のセッションで「データ・サイエンティストは必要か 〜データ分析時代の組織と人材要」というテーマで野村総研の鈴木 良介 氏とリレーセッション&クロストークを担当させていただきました。

本セッションでお話をさせていただいた内容を、少しご紹介させていただければと思います。

IT業界における主な案件と雇用環境のイメージ図を作成しました。

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SI案件では、大規模SI案件が縮小傾向にあり、SE人材の余剰感が強まり、一部の大手Siベンダでも人員削減が始まっているところもあります。一方、クラウドおよびビッグデータ関連では、市場が急速に成長している一方で、その成長に対応した人材が追いついていないのが現状となっています。

TechTargetジャパンが公表した「大規模データ活用動向についての調査レポート」によると、データ活用における課題は、「大量データを扱える技術者がいない」が最多で32%「リアルタイムにデータを扱えない」(25%)、「マスターデータマネジメントができていない」(23%)などが続いています。つまり、データ活用においての課題は、技術者が確保できていない点にあります。

世界におけるデータサイエンティストの人材不足も深刻です。2011年5月に米マッキンゼーが公表した「McKinsey Global Institute「Big data: The next frontier for innovation, competition, and productivity」によると、米国では2018年までに、高度なアナリティクス・スキルを持つ人材が14万~19万人不足で、大規模なデータセットのアナリティクスを活用し意思決定のできるマネージャーやアナリストが150万人不足すると算出しています。

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一方、統計学や機械学習に関する高等訓練の経験を有し、データ分析に係る才能を有する大学卒業生数は、米国の2万4,730人、中国の1万7,410人、インドの1万3,270人、日本は3,400人となっており、その他先進国と比べても低い数値となっています。

世界におけるデータ分析の才能を有する人材の推移は、中国は年率平均10.4%の成長率でデータ分析の才能を有する人材が増加するなど諸外国が増加傾向にあるのに比べ、日本は平均-5.3%年々減少傾向にあります。

日本の大学では、統計学部や学科というのが、ほとんど存在せず、各学部の履修科目の一つに過ぎないと言うのが現状で、大学における統計学や機械学習の専門家育成のための育成プログラムが急がれています。

EMCが、2011年12月に公表した「New Global Study EMC」によると、ビッグデータとデータ分析の連携により生み出されるビジネス・チャンスを利益に結び付けるために企業で必要とされるスキルが世界的に不足していると指摘しています。

少しポイントを紹介すると、ビッグデータ関連の意思決定や人材不足感や予算やリソースの不足が顕著となっています。

情報を活用した意思決定:
自身の企業に、新しいデータに基づいてビジネス上の意思決定を行う能力があると確信している回答者は1/3

急迫する人材不足:
データ・サイエンス・プロフェッショナルの65%は、データ・サイエンスに携わる人材の需要が今後5年間で供給を上回ると考えている。

データ・サイエンス導入への障壁:
データ・サイエンス導入の最もよく見られる障壁として、スキルまたはトレーニングの不足(32%)、予算/リソース(32%)、組織構造の問題(14%)、ツール/テクノロジーの不足(10%)

上級学位:
ビジネス・インテリジェンス・プロフェッショナルと比較し、修士号または博士号を取得しているデータ・サイエンティストの数は3倍

日本におけるビッグデータ関連の雇用の現状を見てみましょう。

Gartner Symposium Report:201x年に情報システム部門はどうするべきか?」によると、企業の情報システム部門が受け持つIT予算は次第に減少し、2015年にはIT支出企業のIT支出の35%がIT部門の予算外となり、2017年にはマーケティング部門が行使できるIT予算が情報システム部門を上回ると予測しています。

さらに、日本では、ビッグデータ関連の雇用が36万5000人分増える見込みに対して、実際に雇用条件を満たせる人材は11万人程度となっています。

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政府もデータサイエンティストの育成について政策的な支援を検討しています。2012年7月に公表した「日本の再生戦略(科学技術イノベーション・情報通信戦略 )クラウド等を通じたデータ利活用による競争力確保のための環境整備」において、2013年度までに実施すべき事項として、データサイエンティストの育成をあげています。関連市場創出に向けてのデータサイエンティストの育成も重要施策としてあげています。

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担当キュレーター「わんとぴ
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Comment(1)

コメント

TETSU

なんかこういうのってちょっと違和感があるんですよね。昔?あったIT人材が不足するとかの予想のようなものなのかなぁ

確かにスペシャリストの人材は不足しているでしょう。でも、そんなに多くの雇用はうむかな?どっちかというと、本当のスペシャリストはそんなに多くは要らないと思います。
どっちかというと、統計的な知識をもった普通?の人が多く必要だと思います。
特に企画やる人が統計的な知識を持っていて、ビックデータの解析が(専門家の力をかりて)企画に役立てるようになる方が、多くの雇用をうむ気がします。

もちろん日本の競争力を上げる為にと考えれば、より多くのスペシャリストが必要という考え方は賛成ですよ。
ただクラウドが進むと、一部のスペシャリストの需要が増して、スペシャリストになれない技術者は逆に雇用が減ってしまう現象もあるかと思ってます。

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