クラウドから生まれるイノベーションの意味を考える
先日、ツイッター上で、クラウドは「持続的イノベーション」か、「破壊的イノベーション」か、という議論になりました。マイクロソフトは、デスクトップOSからクラウド側に移行させていきながら「持続的イノベーション」を目指しているのではないかという意見もありましたが、多くはクラウドは「破壊的イノベーション」であるという意見でした。
クラウドコンピューティングが普及することになれば、「クラウドで変わる産業構造」でもご紹介をさせていただきましたが、これまでの受託開発型の多重下請け構造から、大きく構造転換がはかられる可能性があります。特にこれまでSI事業を中心として展開をしてきた事業者は、プライベートクラウドというアプローチはあるものの、サービス中心の事業構造に展開をはかる必要が出てくるでしょう。ただし、現実はそれほど容易ではないと思います。また、ツイッターでも意見がでましたが、特に、構築したシステム運用保守費用の収入源が懸念されています。
クラウドコンピューティングの流れは、IT業界の産業構造の変化、さらには業界構造の破壊をもたらし、新たなイノベーションを生み出す契機として捉えていく必要があるでしょう。そのため、業界全体に産みの苦しみは発生することになるかもしれません。
話は変わりますが、昨日(9月1日)、「次世代サービス共創フォーラム」が主催するワークショップに参加をしてきました。テーマは、「【特別セミナー】クラウドビジネスの最新動向と今後の展望」で、ITジャーナリストの小池 良次氏は「クラウド・イノベーションの最新動向と今後の展望」というタイトルで特に北米の動向についてお話をされ、「クラウド・イノベーション」というキーワードを何度も使われていたのが印象的でした。
「クラウド・イノベーション」は、従来の汎用パソコンや汎用サーバーをベースとするアーキテクチャーの見直しを促しているとし、例として、「クラウド・データセンター」や「クラウド・プログラミング」、「クラウド・コミュニケーション」などがあげられています。
クラウドは「持続的イノベーション」か、「破壊的イノベーション」か。まだ正解は出ていないと思いますが、いずれにしても大きなイノベーション自体を生み出すことは、間違いのない流れかと思います。どの事業者がクラウドの流れにおいてイニシアティブをとり、イノベーションを生み出していくか、そして、利用ユーザ側にどのようなメリットを与えていくことができるのか。クラウドを軸としたイノベーションのジレンマを経ながら、IT業界は大きく前向きに進化していくことが期待されます。