自治体クラウドと霞が関クラウド
クラウドコンピューティングの海外の動向が顕著ですが、日本政府におけるクラウドの取り組みが次第に明らかになりつつあります。
総務省は4月20日、「ICTビジョン懇談会 中間取りまとめ」を公表しました。2015年頃を視野に入れた総合的なICT政策の方向性(ビジョン)について議論を進めており、6月に最終取りまとめがなされる予定です。
これまで、IT戦略本部や総務省の鳩山プラン等、様々な視点からデジタル新戦略のあり方について公表されていますが、今回の中間報告書の中において、役割分担やスケジュールの流れについて整理されています。
本中間報告書において、「知識・情報経済立国」を実現することを目指し、”ユビキタスネットワーク上で、膨大なコンピューティング能力・ソフトウェア群を介して知識・情報が瞬時に流通・共有化され、それによって付加価値が創造される社会”という表現をしています。
政府も革新的電子政府の実現を目指し、
- 霞が関クラウドの構築
- 国民電子私書箱の実現
- 自治体クラウドの構築等
- ナショナルデジタルアーカイブの構築
の4点をあげています。これまで「霞が関クラウド」については、先日のブログの「政府の「霞が関クラウド」でも紹介したように鳩山プラン等でも概要が紹介されています。本中間報告書の中では、「自治体クラウド」についても明記されています。
自治体クラウドでは、新たな公的個人認証の基盤システムの開発、各種業務システムの効率的な整備・運用を図るために「自治体クラウド」を構築するとし、実現のためには、複数の都道府県において先行的に開発実証すべきであるとしています。
これまでの報告書を読むと、先行するのは「霞が関クラウド」で自治体にもクラウドを展開する動きになることが推測されます。
総務省は3月27日、「地方公共団体ASP・SaaS活用推進会議 第一次中間報告」を公表しました。目次は以下のとおりです。
本報告書の中では、クラウドというキーワードは一度も使われておりませんが、地方公共団体におけるASP・SaaS 利用の拡大のための方向性が示されており、ページ数も112ページとなかなか読み応えがあるものです。
報告書に書かれているように、電子自治体の推進にあたっては、情報システムの開発や維持管理に多大なコストがかかり、財政的な負担も増大し、人的負担も大きくなってきています。コスト削減と業務効率化のため、自治体クラウドやSaaS・ASP利用を推進する検討が今後進むものと思われます。どこまで共通化できるのか、今後の検討し、どのように施策を展開していくのか政府の今後の取り組みが注目されるところです。