学習指導要領改定によるICT教育と情報モラル教育
少子高齢化が進む中でこれからの日本の将来を背負って立つ子どもたちの教育はこの先どうなっていくのでしょうか?
文部科学省は15日、「幼稚園教育要領、小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領の改訂案等について」を発表しました。ゆとり教育の柱であった総合学習が削減され、小中学校で国語、算数・数学、理科などの主要教科の授業時間が1割以上増えることになります。そして、小学5年からの英語は必須化になります。この改定によって、子どもの学力向上や生きる力のアップにつながることが期待されています。
新聞の社説やブログ等を読むと様々な意見があり、本改定も賛否両論入り乱れています。私自身が職業柄なのかもしれませんが、力をいれてほしいと考えている一つがICT教育と情報モラル教育です。
今回改定の中で取り上げられているICT教育と情報モラル教育の項目をいくつか取り上げて見ましょう。
各教科等の指導に当たっては,児童がコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段に慣れ親しみ,コンピュータで文字を入力するなどの基本的な操作や情報モラルを身に付け,適切に活用できるようにするための学習活動を充実するとともに,これらの情報手段に加え視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。
そして、〔第5学年及び第6学年〕においては、道徳の時間において、児童の発達の段階や特性等を考慮し,情報モラルに関する指導に留意することが記載されています。
各教科等の指導に当たっては,生徒が情報モラルを身に付け,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を適切かつ主体的,積極的に活用できるようにするための学習活動を充実するとともに,これらの情報手段に加え視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。
資料の収集,処理や発表などに当たっては,コンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的に活用し,指導に生かすことで,生徒が興味・関心をもって学習に取り組めるようにするとともに,生徒が主体的に情報手段を活用できるよう配慮するものとする。その際,情報モラルの指導にも配慮するものとする。
(1) 情報通信ネットワークと情報モラルについて,次の事項を指導する。
ア)コンピュータの構成と基本的な情報処理の仕組みを知ること。
イ)情報通信ネットワークにおける基本的な情報利用の仕組みを知ること。
ウ)著作権や発信した情報に対する責任を知り,情報モラルについて考えること。
エ)情報に関する技術の適切な評価・活用について考えること。
(2) ディジタル作品の設計・制作について,次の事項を指導する。
ア)メディアの特徴と利用方法を知り,制作品の設計ができること。
イ)多様なメディアを複合し,表現や発信ができること。
現在、「学校裏サイト」や「ネットいじめ」等の問題や、携帯電話からのフィルタリングの規制についても様々な議論がされています。出会いサイト等インターネット経由で犯罪に巻き込まれるケースも増えています。そのため、情報モラル教育はさらに様々なケースに対応した指導が必要になってくるでしょう。
一方、様々な情報に触れる機会が触れることになり、情報を適切インプットするとともに、情報を正しくアウトプットする力も必要とされる時代になりました。子どもたちのリテラシーが高まれば、教科の内容によっては、効率的に学習できる機会も増えるでしょう。
学習指導要領が改定されれば、子どもたちの負担が増えますが、教師にとってはさらに負担が増えることが予想されます。今回の改定は学校現場では特に戸惑いがあるのではないかと感じています。この負担増を補うには、教員の増員という選択肢もありますが、教務システムや学務システム等の導入による教員向けのICT環境を整えていくこともより重要になってくると考えています。