仮想世界と新しい学びのスタイル(2)
「仮想世界と新しい学びのスタイル(1)」では、主に小中学生を中心に仮想世界と教育について述べさせていただきました。2回目は、仮想世界と高校生と大学生の教育について少し整理してみたいと思います。
1月4日、レゾナント・ソリューションズは、「セカンドライフ内ICT教育施設で大学受験、資格取得等ラーニングサービス開始」を発表し、「セカンドライフ」内の自社運営ICT教育施設、「セカンドライフカレッジ・レゾナント」で教育機関(塾、中高、大学)支援サービスを「e-キャン」と共同で開始します。セカンドライフで遠隔教育や集合研修をすることにより、学習のモチベーションを維持できるようになるとしています。
「慶応大学がセカンドライフで日本初めての大学講義を公開へ」でもご紹介させていただきましたが、慶応大学と電通は7月31日、電通が8月にセカンドライフ(Second Life)内に開設する仮想都市空間「バーチャル東京」内に、共同研究拠点「慶應義塾セカンドライフキャンパス」を設置する(PDF)」と発表しました。大学正規科目の講義のセカンドライフ内での公開は、日本初の試みとなるようです。
12月17日、メルティングドッツは、人間総合科学大学が「セカンドライフ内に仮想キャンパスをオープン ~バーチャル上でリアル講義を展開! 美術館も公開!~」すると発表しました。一般ユーザーに対する情報発信や相談の場として活用し、今後は公開講座「セカンドライフオープン・キャンパス」の開催や「こころ
からだ 文化」をテーマとしたイベントの開催も予定しているとのことです。
8月9日のCNETの記事「Web 2.0スタイルのツールが変革する大学の教育現場」の中でもセカンドライフと大学教育に関することが述べられています。
ウォールデン大学のKevin Jarrett氏は、Second Lifeの教育的な潜在価値を6カ月かけて研究するための助成金1万ドルを獲得し、以下のことを述べています。
ディスカッションボードやウィキ、ブログを閲覧することと、クラスメートとともに3D環境に物理的に参加することはまったく別の話だ。後者の方が学生の関与を促し、自分の存在意識を高めることができる
日本のセカンドライフを例にあげて仮想世界を大学教育等に活用する事例をいくつかあげてみました。大学生はmixi等のSNSを利用比率は非常に高く、SNSで情報交換を当たり前のようにしています。ネットのコミュニケーションで慣れている学生たちは、仮想キャンパスの中で集合研修や遠隔教育(eラーニング)をすることもそれほど違和感はないのではないかと考えています。将来、リアルの講義よりもネットの講義のほうが、よりインタラクティブで理解りやすいケースも増え、リアルとネットから講座を自由に選択できる時代が来るのかもしれません。
そして、mixiやモバゲーが若い世代から広がったように、現在苦戦しているセカンドライフに代表される仮想世界は若い世代からボトムアップするという営みも必要なのかもしれません。