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台風のおかげで30分早く終了で、残念でしたが、久々にお会いした谷口さんは、やはりフランクに色々話していただけて、楽しい時間でした。宮本大人氏が鬼のように準備した画像も素晴らしく的確で、僕が宮谷一彦の話を出したら、即座にぴったりの宮谷作品の画像を出してくれたのにはびっくりした。お話は『孤独のグルメ』に始まり、『『坊っちゃん』の時代』『青の戦士』『歩く人』『事件屋稼業』『神々の山嶺』『父の暦』『遥かな町』など、画像を次々に見ながら、青年劇画の時代から今の谷口さんに至る時代の変遷を通し、けっこう谷口マンガの全体にわたる話ができたと思う。BDとの関係も少しは触れられたし。
その後、スタッフと食事。そこでも、デビュー作についてや、BDと日本マンガの違い、アシスタント時代の話、石川球太アシ時代につげ義春に会いたくて水木プロに行ってデビュー直前の池上遼一に会った話、川崎のぼるや山川惣治のところに行った話、上村一夫アシ時代には、ローテーション違いで会えなかったが福山庸治がいたとか、面白い話満載でした。いや、楽しかった。谷口さん、ありがとうございました。みなさん、お世話様でした。
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終わったと思っていた青野春秋『俺はまだ本気出してないだけ』(小学館)の5巻が出てた。
少し前、近所のカフェに全4巻置いてあって、読んだらヒジョーに面白かった。40歳になってもだらだらと正業につかず、オヤジに説教されても馬耳東風で、しかも突然マンガ家になるといいだし、しょうもないマンガを描き続ける本当にダメなオヤジの話だ。出て行った妻との間に思春期の娘がいて、一緒に住んでいる。主人公は、オヤジのスネかじりで生き、ヘルスでバイトしていた娘とハチあわせしたりする。4巻で完結していて、これ以上描く必要のない作品だろうと思った。主人公はダメなままで、相変わらず最後まで「本気出してないだけ」だと思っている。それが面白かった。
このマンガの存在は読む前から知っていた。でも、「俺はまだ本気出してないだけ」っていうタイトルで引いて、読んでいなかったのだ。若い頃、僕も多分そう思っていた。それを乗り越えて生きてくるほかなく、そうなるとこういう気持ちに不寛容になる。ヘンな話だが、タイトルで僕はムカついていたのだと思う(こういう気持ちが「近頃の若者は・・・・」といいたがるオジサンの背景なのかも)。でも、作品の距離感は心地よくて、単純で動きのない絵が奇妙におかしくて、愛嬌のある作品だった。
完結した作品の続編で、がっかりすることは多い。まして帯に映画化の宣伝があれば、なおさらだ。「いい話」で収めているので、この作品の場合も、がっかりする読者はいるかもしれない。でも、僕は楽しく読んだ。作者が、登場人物たちを大切に思っていることが伝わってくる気がした。主人公の周囲の人物が、今回はとてもいい味を出す。いい気持ちで読み終えられた。
でもなあ、映画化・・・・。主人公、堤真一は僕的にはナイなあ。大丈夫だろうかね。マンガの顔的にはドランクドラゴンの塚地とかなんだけどなあ。
ふと思うのだけれど、僕も何かひとつどこかで違ってしまえば、この主人公のように「まだ本気出してないだけ」と思い続けていたかもしれない。そういう僕が、並行世界のどこかにいるかもしれない。さすがに、この主人公のように図太く生けいてはいられないだろうし、彼の親友のように命を絶とうとしたかもしれない。でも、自分と無縁の存在ではないんだよね。
そういえば、僕の大好きな福本伸行『最強伝説 黒沢』にも、似たポイントがあるかもしれないな。もっと地味だけど。
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