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先週土曜(5日)の体験教室で、久しぶりにもっとも基礎的に教わった概念がボードに書かれたので記録しておく。

含胸 亀背  沈肩 墜肘    平起平落
腹実 胸空             Flat moving the feet

左から「胸を含んで(落として)背を亀のように充実させる」
「肩と肘は落とす(肩はできるだけ落とし、肘は自然と通るように曲げる)
「腹実 胸空」は現象としては「含胸亀背」と同じだが、身体の内面的な側面。

「平起平落」は、足裏を垂直に上げ、垂直に下げ、地に対して並行に進める。

あと、僕が初期に習った概念でいうと「地を噛む」というのがあるが、それを加えればほぼ基礎的な概念は揃う気がする。最近は、こうしたことを総体的に概念化して教えることは少なくなっていたので、一応記録しておく。

natsume

2006年に小池書院から出た短編集だが、読み直してあまりの面白さに書いてしまう。

江戸期の吉原、死んだフリの芸人、のっぺら坊の女房に好みの顔描いて抱く男、変態オヤジに見受けされそうな太夫の忍ぶ恋、大酒のみ同士の大バカ合戦(事実あって江戸初期に刊本ではやったらしい)など、まことにスケベでどうしようもない連中の、楽しく、業のきわみのような噺が続く。絵は、うまいとはいえないが、匂いたつような艶がある。大盃での飲みあいは、つい先日小さんの「試し酒」を観て、その飲みっぷりに感心したばかりなので、余計面白い。

natsume

先日買ったDVDを観てみた。アメコミのスーパーヒーローの歴史や特質について、超有名なアーティストやライター、編集者などが語り、なかなか興味深い。現場の人たちが、アメコミやスーパーヒーローをどう思っているのかが、よくわかる。それほど詳しいわけではないので、一通り観ただけでは、そこここに面白い問題へのきっかけが隠されている気がするが、もう少し先まで行くには「教養」が足りないなと感じる。
アメコミ全体ではなく、スーパーヒーローの歴史ということでいえば、かなりよくまとまっているんだろうと思う。「ターザン」物やウェスタン、探偵物、ホラーなど、多様なジャンルの中からスーパーヒーローだけがフォーカスされている。戦後、バッシングにあって以降のアメコミの姿から逆に歴史を見ているのかもしれない。
特典のすべてを観てはいないが、メビウスがインタビューに応えているのを観た。僕が日本人だからだろうが、フランスから見たアメコミのスーパーヒーロー観は、さすがに面白い。記憶でいうと、こんな感じ。
「アメコミのヒーローは、人間を探ろうとする。とてもネガティブな部分をあぶりだしてヒーローを作り、それをポジティブに変えるという矛盾を抱えている云々」(追伸 たしか、アメリカ人にとってセラピーなんだ、ともいってた気が)
なるほどね。本編の中でも、多くの人が、スーパーヒーローはアメリカそのものなんだ、ということをいっていて、一人は「それが世界のどこでも通じてほしい」というようなことをいっていたが、アメリカらしいなと思った。また、「ヒーローたちにはイノセンスが必要で、そうでないとファシズムになる」という言及も面白かったが、イノセンスへの理想主義的な欲望がファシズムなんじゃないかと思ったりもした。
あと、スーパーマンを最初に作った二人の若者がユダヤ人であったことに意味を見出しているところも面白かった。知的にも身体的にも優れた異星からきた異邦人が、都会でその能力を隠し、平凡でシャイでむしろ笑われ者として過ごしながら、変身して大活躍する。それが移民であったユダヤ人の理想なのだという。アイズナーを読んでいると、なるほどとも思う。
ちなみにアイズナー『ザ・ドリーマー』にも出てきた『バットマン』を作ったアーティストの話も出てきた。
歴史的には、戦争による具体的な敵の設定、共産主義の恐怖とバッシングなどが語られて興味深いが、次々映される映像には、ラジオ、映画、TVなど、他の媒体との深い関係が示唆されていて、そちらも重要だなと思わせる。戦前の、かなり徹底的なリミテッド・アニメも見られた。

http://www.planetcomics.jp/dvd/index.html

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夏目 房之介

夏目 房之介

72年マンガ家デビュー。現在マンガ・コラムニストとしてマンガ、イラスト、エッセイ、講演、TV番組などで活躍中。

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