« 2012年4月27日

2012年4月28日の投稿

2012年4月29日 »
本日の私 2012/04/28

2012428
なんで、いまさらあたしの肖像写真かというと、何と、甲状腺機能亢進症のおかげで10キロ痩せたため、アゴがちゃんとデキてるところを記念しとこうと思ったのであった。インフルエンザで倒れる以前、アゴを引くとアゴの先が首になめらかに繋がっていたりして、やれやれと思っていたりしたのである。
2月までは多分62キロくらいだったはずで、3月の八卦掌自主合宿では58キロだった。それが今では52キロちょっとなので(体重的にいうと多分30代後半の頃と同じ?)、さすがにこれは記録しておいたほうがいいのである。今後、症状が進むか、止まって増え始めるか、まだわからないが、その時々で記録しておこうと思う。

natsume

以前、ウィル・アイズナーの『ザ・スピリッツ』のベスト版と、自伝的なマンガ『ライフ、イン ピクチャーズ』についてブログで書いたことがある。

「ウィル・アズナー作品の翻訳を」
http://blogs.itmedia.co.jp/natsume/2011/12/post-0360.html

Life, in Pictures: Autobiographical Stories
http://www.amazon.co.jp/Life-Pictures-Autobiographical-Will-Eisner/dp/0393061078

そのときも書いたが、『ライフ、イン ピクチャーズ』の中の『ザ ドリーマー』は、1930年代に起こったコミック・ブック隆盛の時代を背景に、彼自身が印刷屋のアルバイトからマンガ家になり、さらにスタジオを起こし、最後は共同経営者に会社を売るまでを描いた自伝的作品。
アメコミに興味がなくとも、ここに描かれる様々な現象には惹きつけられると思う。
たとえば、彼が最初にアルバイト先の社長を介して紹介される、マフィア系のエロマンガ(「ティファナ・バイブル」とも通称される、ミッキーやら有名なコミックのキャラがHなことをしまくるような本)などは、つげ義春が手伝った先生のエロ画や、さいとうたかをが若い頃描いたという春画系のものとか、温泉地で売っていた周縁的なエロ画を思い起こさせる。僕は、昔香港で、やはり露店の裏でそんなのを売りつけられそうになったことがある。周縁的な媒体であったマンガを考えさせてくれる場面だ。
また、パルプ・マガジン出版社とコミック・ブックの関係も描かれていて、考えてみればバロウズのターザン・シリーズもコミックになったし、中にはバットマンがターザンになってた絵もあったほどのヒット・キャラだった。スペース・オペラも、探偵物も、当然パルプからだし。ターザンは戦後すぐの日本でも映画やマンガで流行し、手塚の初期作品にもその影響がある。
主人公が覗き見るマンガ家組合の集会では、20年代末からの大不況がそろそろ終わるのに、出版社は不況を理由に原稿料を上げない、という主張が行われている。また、この時代に、コミック出版社が、原稿料として振り出す小切手の裏書に「すべての権利は会社にある」と記入し、米国の著作権ルールではそれが威力を発揮して、『スーパーマン』の初代作者たちの訴訟にも発展することになる。そんな関連場面も描かれている。
本の注釈によると、必ずしも実際の歴史の通りではない内容のようだが、かなり長文の注釈も含めて、歴史の勉強になる。

というわけで、読めば読むほどマンガという社会現象を考えるに貴重なテキストだと思われるので、今回試験的に学生に翻訳させ、発表してもらった。中国からやってきた張さんは、じつに真面目な学生で、英語力もありそうなので、彼に頼んだのだが、驚くほどよく調べ、出てくる作品の画像も集めて、非常によい発表をしてくれた。もったいないので、もう一回やってもらうことにしたが、こういうゼミをもっとやってもいいかもしれない。自分の主題に関係なさそうなものでも、きちんと調べて発表するって、すごく大事だと思う
というか、僕がもっと外国語に堪能ならとっくにやってないといけないことだろう。かつて自主ゼミでは学生たちの一部がウィル・アイスナーのマンガ論を原語でやっていたが、僕はドロップしてしまった。今回も、辞書片手に作品と注釈を読むのが、かなりしんどかった。面白いから読めるけど、毎回こんなことはできない。英語はまだしも、フランス語なんつったらお手上げだし。学生が僕に教えてくれる、ってのがいいんだけどなあ。

natsume

« 2012年4月27日

2012年4月28日の投稿

2012年4月29日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

夏目 房之介

夏目 房之介

72年マンガ家デビュー。現在マンガ・コラムニストとしてマンガ、イラスト、エッセイ、講演、TV番組などで活躍中。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のコメント
最近のトラックバック
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
natsume
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ