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2010年3月1日 » |
金曜日、雨の大阪、天保山サントリーミュージアムに井上雄彦展を観に行った。
上野の評判は聞いていたが、そのあまりの混雜ぶりに恐れをなし、熊本も見逃し、結局大阪でようやく観た。
なるほど、作家個人が面白がってやれば、こういうマンガ展が可能なのだ。コマとテキストを使って展示空間を物語の時間に転化して、でもそれだけでは面白くないところを、ちゃんと展示空間を歩く鑑賞の面白さにもしていて、娯楽なんだけど、同時に現代芸術でやりそうな空間の使い方もしている。何よりも、白黒を基調とした壁面構成と屏風型パネルとを縫う暗い通路と明るい開放空間が部分的に地獄めぐりのような効果を織り込んでいたり、マンガというメディアの面白さをいかに展示として立体化するかの工夫が見事だった。
最初から最後まで、飽きずに観、「読む」ことができた。
とくに、中盤の「滝」の巨大なパネルのあたりの構成が見事で、そこに入ったときには、まるでほんとに滝の下にいるようだった。顔をめぐらすと、そこからぽつりぽつりと幻想の画像が浮かび上がり、マンガだと不可能な距離の空け方で、このあたりから武蔵の臨死体験的な夢幻の世界に入ってゆく。父と母に出会ってゆく空間は、ややキリスト教的なイメージを感じた(あの母はマリアみたいだ)が、じゅうぶんに楽しめた。
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