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何となくザッピングしてたら、ちょうどNHK「プロフェッショナル」で柳家小三治をやっていた。
ひどいリウマチだそうで、山のような薬を飲んでいた。免疫を抑制して痛みを減らすらしい。
落語家としては生真面目すぎるといわれ、師匠小さんから「お前の噺は面白くねぇな」といわれ、ずいぶん迷ったらしい。以前、お会いしたとき「ウチの落語は、客に受けようとしちゃいけないっていうんですよ。笑わそうとしちゃいけない」と話されていて、いかにも小三治さんらしいと思ったことがある。が、「客のためにやってんじゃない、俺は俺だ」という自分と、お客様が一番だからという自分が矛盾しているらしい。68歳になって、今でもそういうことで悩み続けているんだな、と思う。即座に自分もきっとそうなのかもしれない・・・・と思った。
「自分で、それでよしとしている自分が嫌いだ」と、68歳の落語家がいう。
たしかに生真面目だが、この人の落語はたしかに、いい。
受けようという気持ちを抑え「小さく小さく」といいながら、抑制して語ると、ぽっと口から出た小さなことがスッと客に入ってゆく、と語っていた。そういうものかもしれない。
「笑わせるんじゃない、笑っちゃうのが芸じゃないかな」
最後に(実際は、編集で最後に持ってきたのだろうが)「プロフェッショナルとは?」と聞かれた小三治さんは、こう答えていた。
「今までのプロフェッショナルを観ていてね。はたからみるとね、凄いなー、プロフェッショナルだなーと思う人もね、本人はそんなこと考えてないと思います。ただ、今やってることを必死にやってるだけなんですよ」
そうなんだろうな。面白かったです。
日経の「TVウォッチ」で前に一度「プロフェッショナル」書いたので、こっちに書いてみました。
ユリイカ10月臨時増刊「特集 杉浦日向子」が届いた。 http://www.seidosha.co.jp/
じつは、僕は寄稿していない。
依頼はあった。が、ちょうど大学後期が始まる前、出張のあいまに準備をしなければいけない時期の締め切りで、ちゃんとしたものを集中して書ける自信はなかったし、杉浦さんの批評を適当に書く気になれなかったので、断った。それでなくとも、今はよほどでないかぎり、大学以外の仕事は断っているので、しかたない。
でも、杉浦さんのマンガの大ファンであり、正直迷った。
何を、どう、という目算もないが、お前が書かなくてどうする・・・・という声が自分の内になくもなかった。僕は彼女の作る作品世界が大好きだった。多分、語ろうとすれば言葉は次々出てくるかもしれない・・・・。いや、逆かな。杉浦さんのマンガへの思い入れは、言葉にせずにそのまま「好き」で留めおきたい種類のものかもしれない。
ユリイカが届き、パラパラとめくって、自分の名前がないのが寂しい気がしたけれど、しばらく考えているうちに「僕は、書けなかったかもな」と思った。今は、これでいいのかもしれない。
あらためて、合掌。
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コミックパークの連載「マンガの発見」第111回 、更新しました。
「「COM」の時代(4) マンガ表現論への方向づけ」
COM誌上の峠あかね(真崎守)などを引き、70年代末以降の「〈私〉語り」マンガ論(瓜生吉則)や表現論へと連なる「マンガをマンガとして語る」意識の流れを見ていく。このあと、COMとガロの影響関係を見てみようかな、と思っています。
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