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マーケティングとは? グローバル化とは? ライフワークとは? 一緒に考えてみましょう

« 2010年4月30日

2010年5月1日の投稿

2010年5月2日 »

佐々木俊尚著「電子書籍の衝撃」を読み終えました。

本書は下記5章構成で、現在の電子書籍をとりまく状況をまとめています。

第1章:iPADとキンドルは、何を変えるのか?
第2章:電子ブック・プラットフォーム戦争
第3章:セルフパブリッシングの時代
第4章:日本の出版文化はなぜダメになったのか?
第5章:本の未来

それぞれが素晴らしい切り口で書かれており、混沌とする電子書籍の状況がマクロ的に整理されています。

現在、会社員の立場で、「電子書籍時代のビジネスパーソン出版戦略」というテーマで3冊目の本を企画しているため、特に第3章「セルフパブリッシングの時代」は啓発される内容でした。 

同時に、電子書籍全体の議論の中で、自分が探っているテーマがどこに位置付けられるかも、理解できました。

上記5章の「セルフハブリッシング」の中の、「ビジネスパーソンによる出版」にポジショニングされるのですね。

ということで、本書の中の第3章を中心に、「ビジネスパーソンによる出版」という視点で、私が感じたことをまとめたいと思います。

 

第3章の最初に、「アマゾン・デジタル・テキスト・プラットフォーム」(以下、アマゾンDTP)が丁寧に紹介されています。

アマゾンDTPについては、オルタナ・ブロガーの斉藤さんも、ブログで紹介されていますので、概略を知りたい方はご参考になると思います。

アマゾンDTPでは、ISBNコードとコンテンツさえあれば、その場で即座に電子出版できます。

そのISBNコードも、本書で書かれている通り、個人で簡単に入手できます。(→私も個人出版の際にISBNコードを入手した経験を書いたエントリーでご紹介しました)

現在はアマゾンDTPは日本語対応していませんが、日本人でも英語で出せるコンテンツがあれば、現時点でも登録可能です。

本書では、インディー(独立系)の書き手としてセルフパブリッシングをスタートした米国の女性が、ブログで収支決算を報告した際の文章を紹介しています。

---(以下、引用)---

「多くの人達に読んでもらうために書くという行為は、自分が書いたものをエージェントに送って放置されたり、そっけない断りの手紙を受け取るよりも数千億倍価値がある。SNSのマイスペースでは『あなたの小説はベストセラーよりも面白いよ』とコメントしてくれる人がいて本当に嬉しかった」

---(以上、引用)---

私が2008年に「戦略プロフェッショナルの心得」を個人出版で上梓した際には、新書248ページで2,000部印刷し、アマゾンのe託販売で通常の書籍として販売しました。

全て個人で行い、合計70万円掛かりましたが、2年前の当時、恐らくこれが最もコスト・パフォーマンスがよい個人出版方法の一つだったと思います。

それが2年後の現在、わずか2-3万円で出せるようになった訳です。

従来の出版社が持っていた「紙の在庫」は、出版社のパワーの源泉でもあり、リスクでもあり、「本を出版したい」という人にとってある意味で参入障壁でもありました。

「本を出版したい」というビジネスパーソンにとって、この非常に高かった出版への参入障壁を突然消滅させたところに、電子書籍の大きな意義があるのでしょう。

 

本書ではさらに、このセルフパブリッシングに挑戦する米国の女性が、メルマガやブログ、フェイスブック等で様々なマーケティングプロモーションの展開を考えている様子も紹介されています。

手前味噌ですが、私も3月から行っている「戦略プロフェッショナルの心得」PDF版無償公開で、今後出版する本の情報配信を希望する方々のメールアドレスを600件程いただいています。

今後、私が電子書籍を出版しプロモーションする際には、この蓄積は大きな力になっていく筈です。

 

本書では、リアルからネット化で10年先行している音楽配信に関する考察が随所に出ています。

その中で、組織を経由せずに、完全フリーランスで収入を得ている日本のミュージシャンの事例も紹介されています。

かつて、多くの商品は直売でしたが、大量販売の時代を迎えて、組織を経由した間接販売が主流になりました。

音楽の場合は大手レーベル、本の場合は出版社や出版卸がそうですね。

ソーシャルメディアを活用することで、昔懐かしい直販モデルが復活していることも、感じました。

 

また、本書では今年2月に米国で行われたディスカッションの中で挙げられた「これからのジャーナリストに必要なスキル」についても紹介しています。

----(以下、引用)----

①的確なタイミングで的確な内容のコンテンツを的確なスキルを駆使し、多様なメディアから情報を発信する能力。

②多くのファンたちと会話を交わし、そのコミュニティを運用できる能力。

③自分の専門分野の中から優良なコンテンツを探してきて、他の人にも分け与えることができる選択眼。

④リンクでお互いがつながっているウェブの世界の中で自分の声で情報を発信し、参加できる力。

⑤一緒に仕事をしている仲間たちや他の専門家、そして自分のコンテンツを愛してくれるファンたちと強調していく能力。

---(以上、引用)---

佐々木さんも書かれておられる通り、これはソーシャルメディアを活用する知的プロフェッショナルにとって今後求められるスキルに他なりません。

例えば、このオルタナティブ・ブログを書いているブロガー全員に当てはまることなのではないでしょうか?

 

また、佐々木さんは、この章の最後に、「電子ブック時代の出版社は?」という節で以下のように述べておられます。

---(以下、引用)---

 その究極の進化形は、フリーの編集者とフリーのデザイナー、そしてフリーの書き手がフリーランス連合を組んで一冊の本を作り、売れた分だけ60%の印税をレベニューシェアするようなチーム編成かもしれません。

---(以上、引用)---

「まさに、これだ!」と思いました。

日本には、このような力を持っている人達は沢山いる筈です。

ただし、それらの非常に多くの人達は、編集者は既存の出版社の中に、職業的な深い知恵を持った潜在的な書き手は企業の中に、という形で、組織の中にいて個人として活動しておらず情報発信もしていないのが、日本の現状でもあると思います。

昨年末から今年にかけて、私は「ビジネスパーソンの出版戦略」の講演を何回か行いました。

そして、多くのビジネスパーソンが、「自分が長年仕事を通じて身につけた職業経験を本にまとめて出したい。しかし方法が分らない」と考えているということが分りました。

このような人達が、組織のしがらみから自由になり、佐々木さんが「究極の進化形」として提示された形で、個人として情報発信できるようになれば、個人個人の競争力も上がり、それがひいては日本全体の競争力の向上に結びつくようになるのではないかと思います。

 

当ブログでは、「電子書籍の衝撃」の中から、ごく一部を紹介させていただきました。

他にもここでは紹介しきれない程、多くの啓発される内容が書かれています。

本書で、現在考えている「電子書籍時代のビジネスパーソン出版戦略」をさらに深化させる上で素晴らしい示唆をいただきました。

感謝いたします。

 

nagai

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永井孝尚

永井孝尚

オフィス永井代表。 著書「100円のコーラを1000円で売る方法」シリーズ(中経出版)、他。

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