永井孝尚のMM21:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS)

永井孝尚のMM21

日本企業が、バリュープロポジションを活かし、進化するために

『戦略は「1杯のコーヒー」から学べ』の裏話を少しずつご紹介していきます。

本書はコーヒー会社を舞台に、最新ビジネス戦略を学べる物語です。

最初に考えたのは、コーヒー業界をよく知ること。そこでコーヒー関連の本はかなり読み込みました。手元にあるコーヒー関連の本を集めてみました。

Photo  

他にもここにない本や、Kindleで買った本もありますし、新聞・雑誌・ネットの記事も参照したので、実際にはこの2倍程度の分量になるでしょうか?

 
ただ本書は単なるコーヒービジネスの本ではありません。

コーヒー業界はあくまで事例。本質はビジネス書です。最新マーケティングやビジネス戦略に関する本も読み込みました。

 

一方で本から学んだだけでは不十分。自分の経験に基づいて書かないと説得力ある本は書けません。

そこで色々なコーヒー体験をしました。方々の喫茶店に行くのはもちろん、コーヒー関連のセミナーに参加したり、コーヒー博物館にも足を伸ばしましたし、コーヒー会社の方とお話しもしました。

そして何よりも大切だったのは、独立後、一緒に仕事をさせていただいたお客様を通じて、リアルなビジネスの現場で必要なことを学んだこと。コーヒー業界だけでなく様々な業界の課題と取り組みも、本書に反映しました。


合計256ページのこの薄い本には、実に色々な情報のエッセンスを、誰でも楽しみながらサクサク理解できる面白いストーリーに凝縮しています。

 

 

nagai

新刊『戦略は「1杯のコーヒー」から学べ』の表紙画像がアマゾンに掲載されました。

1_2

「100円のコーラ」シリーズは白地に各種コーラのデザインでシリーズ感を出していましたが、本書は一転してコーヒーをイメージした色の表紙になります。

並べるとこんな感じです。

 

本書は9月11日発売の予定です。お楽しみに。

 

nagai

昨日2014/8/28の日本経済新聞に、「スタバ1杯1850円 希少な豆使用」という記事が掲載されています。

9月17日から、「パナマ アウロマール ゲイシャ」という商品名で、パナマ産「ゲイシャ種」のコーヒー豆を使い、一部店舗で販売するそうです。

「全国約1000店のうち、希少性の高いコーヒーを販売している48店で数量限定で扱う」としています。

記事には明確に書いていませんが、StarBucks Reserveのメニューとして出すのでしょうね。Reserveは500円から900円前後。これが一気に2倍の価格になります。

 

コーヒーも本格的に高付加価値の戦いに入ってきたことを象徴している出来事だと思いました。

一方でセブンカフェに代表されるように100円で美味しいコーヒーもあります。底辺が大きく広がり底上げされる一方で、山の頂は高くなっているのですね。

 

ちなみに「ゲイシャ」とは、日本の「芸者」とは関係はなく、Geishaという地名に由来しているそうです。

 

nagai

現代は、これまでのやり方が通用しない、企業にとって厳しい時代になっています。

その大きな要因の一つが、顧客のニーズが洗練され、市場での競争が激しくなっていること。では、どのように取り組めばよいのでしょうか?

本日2014/8/28の日本経済新聞の記事「会社研究 パナソニック(上) 復活へ創業来の事業転換」に、そのヒントがありました。

---(以下、引用)---

 「2000億円の営業利益を稼ぐ4番打者は不要。500億円稼ぐ事業を10そろえるのが目標」と、佐藤基嗣取締役は話す。前期は航空機娯楽システムなど20事業部で売上高営業利益率が5%を超えた。一つ一つの利益規模は大きくないが、1980年代のVTRや90年代の大型ブラウン管テレビが営業利益の大半を稼いだのとは収益構造が変わってきた。

---(以上、引用)---

創業以来の大事業変革に取り組むパナソニックはこのように、「長距離砲のパワーヒッターを育てるのではなく、アベレージ・ヒッターを数多く揃えたい」と考えています。

興味深いことに、日経ビジネス 2014/7/28号でシャープの高橋興三社長も、

1事業で1兆円よりも、100事業で100億円ずつ売る。
新陳代謝が続けばシャープは潰れない。

とおっしゃっています。「液晶テレビ」という一大事業で、栄光と苦労を経験されたシャープならではの言葉です。

 

「なるほど」と思いました。

顧客ニーズが洗練され競争が激化しています。しかし顧客ニーズの洗練に伴い、顧客ニーズは細分化されています。それに伴って市場も小さく細分化されているのです。

こうなると、細分化された小さい市場の顧客ニーズを先取りし、ニーズに最適化した商品をいち早く投入し、市場でダントツのトップシェアを確保することで、競争上、大きく有利に立てます。

小さい市場でダントツトップシェアを確保すれば、他社も容易には参入できなくなるからです。

 

ここで大切なのが、バリュープロポジション。

ターゲットとなる顧客と、その顧客の課題を見極めて、その課題にいかに自社ならではの価値を提供するのかを考えることです。

しかしそうやって作ったバリュープロポジションは、必ずしも正しいとは限りません。

ではどうするか?

 

パナソニックの取り組みを紹介している日本経済新聞の同記事に、別のヒントがありました。

---(以下、引用)---

 「電気自動車(EV)の予約状況は」「電池開発のロードマップは」――。大阪府守口市と兵庫県洲本市にあるパナソニック電池部門と米シリコンバレーは毎週、テレビ電話で熱心な質疑応答を交わす。相手は米EVメーカー、テスラ・モーターズの技術者だ。

「顧客の顔が見えるのがプラズマテレビと違う」と伊藤好生専務は話す。テスラとは米国にEV向けの大規模電池工場を建設することで合意したが、一気に作らず段階的に投資する。工場も建物と土地をテスラが、電池の製造設備をパナソニックが分担し、投資リスクを軽減する。顧客との連携強化で、数千億円の投資を繰り返したプラズマテレビ事業のようなやり方を改めた。

---(以上、引用)---

つまり「製品を開発してから、販売に注力する」のではなく、「顧客の状況を頻繁に確認し、仮説検証を行いながら、徐々に製品を仕上げていく」というアプローチを行っているのです。

バリュープロポジションも、このように製品を開発していく過程で、頻繁に顧客に対して検証し、修正していく必要があるのです。

 

売上数兆円の超大企業であるパナソニックやシャープの事業変革は、日経ビジネス・東洋経済・週刊ダイヤモンドなどでも頻繁に特集が組まれています。

超大企業ですが、実際には細分化した市場に取り組んでいます。中小企業にとっても学べるところは大きいと思います。私自身も様々なことを学んでいます。

パナソニックやシャープの皆様のご努力が実ることを祈っております。

 

nagai

今週月曜日の昼下がり、銀座で行われているある作品展に行ってまいりました。

その作品展は、銀座一丁目にある、古いビルの3階と地下1階で行われていました。

 

展示されていたのは、アルミニウムを素材に使い、織物として縫って制作された「ファイバーアート」と呼ばれるアートです。

作品は数メートル規模のものから数十センチ程度のものまで多種多様。

大きなサイズの作品が多いのですが、しかし一方でそれぞれの作品に目を近づけると、細部にまで力がみなぎっていることが感じられます。

「神は細部に宿る」という言葉が頭に浮かびました。

 

作品に浸りながら、ふと山を登って森を歩いている時の感覚を思い出しました。

爽やかな空気に浸りながら森を歩いていると、「これは見事!」と思えるような、木の皮などの自然の造形物に出会うことがあります。

作品から受ける印象は、まさにそのような自然の造形物から受けるものと同じなのです。

 

会場となるビルは、築83年になろうとする古い昭和初期の建物です。

部屋の古いコンクリートがむき出しになっている白い床や壁の質感と、暖かい銀色を主体とした展示作品が溶け合い、会場となる空間全体が作品のメッセージを出しています。

作者の方にお話しを伺ったところ、「作品とのマッチングを考えてこの会場を選んだ」とのこと。

実はお花を持って行ったのですが、展示会場に入ってすぐに「この空間に、花は飾れないな...」と思いました。それほど完璧に空間全体がデザインされていたのです。(幸い作者の方は、快くお花を受け取ってくだいました)

作品は、それを納める器となる会場と一体となることで、メッセージ性を持つのですね。

 

アートの世界に浸るのは久しぶりの体験でしたが、よいひとときを過ごすことができ、幸せな時間でした。

 

この作品展は、今週8月30日(土)まで銀座で開催されています。もし今週、銀座でお時間ができたら、お立ち寄りになってはいかがでしょうか?

場所は銀座1-9-8にある奥野ビル。

3階にある「巷房1」と、地下1階にある「巷房・階段下」で行われています。

田坂 須美子 展 elegant control system

(ちなみに作者の田坂須美子さんのサイトはこちら)

 

nagai

このたび、Business Journalで連載を持つことになり、昨日、連載第1回目が掲載されました。

『なぜ日本メーカーはルンバをつくれない?「ニーズの断捨離」で新しい常識と顧客を創造』

当ブログでは、その時その時に得た気づきを毎日書き溜めるようにしています。

一方で、Business Journalの当連載では、そのようにして書き溜めたものを再度吟味した上で、場合によっては何回分かを組み合わせて、読み物として記事にしています。

これから月1-3回程度の連載になると思います。よろしくお願いいたします。

 

nagai

IBMのサイトで、IBM 6代目CEOであるジョン・エイカーズの逝去を伝えています。

An appreciation  John F. Akers   December 28, 1934 - August 22, 2014

私が日本IBMに入社した1984年、IBMのCEOはジョン・オペルで、プレジデントがジョン・エイカーズ。

翌1985年、エイカーズはCEOに就任しました。

当時20代前半で駆け出しの若造だった私から見ると、エイカーズは雲の上の、さらに上にいるお方。さらに当時のIBMは超階層組織。お目にかかる機会はありませんでした。

しかし写真やビデオ、また実際に会った方のお話しを伺うと、まさに「紳士の中の紳士」であり、IBMの文化を体現する方でもありました。

当時のIT業界では、IBMは世界最強。様々な独占禁止法の訴訟を受けていましたが、それらも1983年までにほぼ解決。

独禁法の鎖から解き放たれたIBMが何を仕掛けてくるか、IT業界やマスメディアは注目していました。

その時点で満を持してのCEO就任でした。

 

皮肉なことに、IT業界におけるIBMの相対的な地位はその時がピーク。

その後、PCなどによるダウンサイジングの波が始まり、大型コンピューター中心だったIBMは、企業変革に苦しみ抜くことになります。

1991年に創業以来初の赤字計上。1993年までに累積赤字は150億ドル(1.5兆円)。

そんな中、エイカーズは1993年までIBMを率いました。

そして後任の7代目CEOとして、IBM生え抜きでなく初の外部から招いたトップとなるルー・ガースナーが就任。IBMをサービス・カンパニーへと大変革をしていきます。

 

IBMが素晴らしいのは、今回のアナウンスにもあるように、そのような過去100年の歴史を積極的に肯定し、苦しい時代にも尽力してきた人たちに対して深くリスペクトをしているところです。

エイカーズは、2011年にIBM創立100周年を記念して作成されたビデオ"IBM Centennial Film: 100 X 100"にも、1934年生まれのIBM社員として登場しています。



 

ご冥福をお祈りしております。

 

nagai

何か新しいプロジェクトに挑戦する場合。

完璧な企画を立てた積もりでも、実際に実行してみるとうまく行かないことがほとんどです。

むしろまず挑戦してみて、その結果から学んだほうがいい。

 

たとえば試行錯誤による学びを通じて、プロジェクトが毎日1%成長したとします。

1%はすごく小さな成長に見えます。

でも、学びというものは、複利で増えます。

30日後には、1.3倍に成長しています。
60日後には、1.8倍。
90日後には、2.4倍。
180日後には、6.0倍。
1年後には、37.8倍。
3年後には、なんと53,939.2倍。つまり5万倍です。

しかし実際には、このように試行錯誤を継続せず、途中で挫折してしまうケースが多いと思います。

最初の1ヶ月間で1.3倍、2ヶ月間でも1.8倍しか成長していないのを見ていて、「毎日努力しているのに、これでは割が合わない」と思ってしまうのかも知れません。

しかし時間をかけた学びの積み重ねは、裏切りません。時として上の数字にもあるように、天文学的な差を生みだします。

 

日々の1%の積み重ねを怠れば、3年経っても1.0倍。つまりそのまま。5万倍とは天文学的な差が付いています。
 

だから愚直にあきらめず、積み重ねることが大切なのですね。

これはプロジェクトでも、人でも同じことだと思います。

 

nagai

オフィス永井では、企業様に「バリュープロポジション・ワークショップ」をご提供しています。

これはクライアント企業様の課題や状況に個別カスタマイズした講演とワークショップを組み合わせて、現場リーダーの皆様と一緒にバリュープロポジションを考え、さらに場合によっては実際にお客様に検証し、新事業戦略策定を通じて実務に役立つ戦略志向を身につけるものです。

座学ではなく実践も加えることにより、リーダーが「顧客中心主義」の考え方をハラに落とすことで、企業に定着していくことが狙いです。

既に様々な業種で数社様にご提供し、高く評価をいただいています。

 

これまでこのワークショップはオープンにせず、実際にお目にかかる企業様に個別にご説明してきました。

・新事業がなかなか立ち上がらない...
・新製品が、他社と差別化できていない....
・顧客志向は大切だが、製品中心で考えてしまうのが現実だ...

ということでお悩みのお客様は多いようで、企業様にご説明するとかなりの比率で導入を検討されます。

 

そこで、この「バリュープロポジション・ワークショップ」の概要が2分でわかるサイトを作ってみました。→リンク

こんな感じです。

Wpws  

このワークショップ自体、実はこの「バリュープロポジション・ワークショップ」の方法論を使って開発を続けており、進化させています。

ご興味がある方は、ぜひご覧ください。

 

nagai

数年前のこと。

アマゾンでパソコン関連部品を購入した際に、私のミスでまちがった商品を購入してしまいました。

普段は注文ミスは滅多にしないのですが、ダメ元でアマゾンに返品依頼をしてみました。

既に商品は開封済でしたが、快く返品を受け付けてくれました。電話での応対も極めて丁寧でした。

「アマゾンで買うと、安心だな。しかも安いし」と実感しました。

それ以来、私はアマゾンで購入することが多くなりました。その後、返品することはほとんどありませんでした。

 

最近、いつものようにアマゾンでカメラのアクセサリーを購入しました。

その後、アマゾンからの購入お知らせメールを見て気がついたのですが、この商品はアマゾンが仲介していて、実際には他の販社が販売していました。画面には書いてあったのですが、気がつかなかったのですね。

数日後、商品が届きました。

開封したところ、間違った商品を注文していました。よく見たら、サイトにもサポート機種が記載されています。私の確認ミスでした。

ダメ元でアマゾン上で返品処理をしました。アマゾンからは「販社に確認する」との回答。翌日、販社から回答がありました。「未開封なら返品可能、開封済なら返品不可」との回答でした。開封済だったので返品不可でした。

元は私の注文ミスです。お手間をかけたことをお詫びするメールをこの販社にお送りしました。

 

そして、改めて考えてみました。

この販社の方針は真っ当です。

未開封品は再販可能ですが、開封済商品は販売できません。会社として個別取引で損は出したくないですし、そもそも注文を間違えたのは注文主(=今回は私)の責任です。

開封済商品を受け付けないのは、正しいご判断です。

 

一方でアマゾンは開封済でも返品を受け付けています。(その後は返品していないので確認していませんが、少なくとも数年前はそうでした)

一見、アマゾン側は個別取引では損をします。

しかしよく考えてみると、実はアマゾンは損をしていないのです。

ECサイトでは処理がほぼ自動化されており、アマゾンが顧客とやりとりをする機会はほとんどありません。だからそのきわめて少ない機会を最大限活用し、たとえ個別取引で損をしてでも、「顧客に最大限の満足をしてもらおう」とアマゾンは考えているようです。

「真実の瞬間」というものですね。

加えて他社では同じことはやっていないので、その後、顧客が定着する可能性が高いのです。

アマゾンでは幅広い商品を売っているので、顧客がいつもアマゾンで色々な商品を買うようになると、その後、アマゾンのその顧客からの売上(=生涯価値)は上がります。

たとえ返品処理による個別取引で損をしたとしても、それは顧客を繋ぎ止めるための投資。長期的には十分に回収できます。(但し、クレーマーのようなケースはここでは除外して考えています)

私も気がついてみたら、ここ数年間のアマゾンでの購買はかなりの金額になっています。

 
「損して得取れ」という古い日本のことわざを、アマゾンは考え抜いて実践しています。

改めて、アマゾンが周到な顧客戦略を持っていることを実感しました。

 

nagai


プロフィール

<!-- include:/mm21/profile_name.html -->永井孝尚<!-- /include:/mm21/profile_name.html -->

永井孝尚

オフィス永井代表。 著書「100円のコーラを1000円で売る方法」シリーズ(中経出版)、他。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のトラックバック
カレンダー
2014年8月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
カテゴリー

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ