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2007年12月19日の投稿

2007年12月20日 »

 このブログが発端となってしまった「初音ミク、JASRACデビュー」事件が大きな転機を迎えようとしています。

 巨大な権利処理団体であるJASRACに初音ミク作品が登録され、「ああ、ついに井戸の外に出て行くのだね」とモー娘。卒業生を見送るような目で見守っていたのですが、「クリプトンは本件を聞いてない」「ドワンゴ・ミュージック謝罪」とめまぐるしい動きを見せています。

 そんな中、2ちゃんねるのとあるスレの中に、初音ミクのヒット作家たちが集結し、ほかのユーザーも含めた情報交換をしつつあります。

「みくみくにしてあげる」がJASRACに登録された件続き(覚え書きオブジイヤー)


 版権会社との交渉は作家が個々に行なっていたわけですが、プロの経験がなければ交渉事に慣れているはずもなく、意図したものとは違う方向へ進んでしまう場合もあります。ika_mo氏もそうだったのでしょう。

 交渉のときのガイドラインなどが形になれば、音楽出版会社とのやりとりで「あとで後悔」するようなこともなくなるかもしれません。

 二次創作された場合、ブログパーツになった場合、ポッドキャストの場合など、ニコニコ動画以外で利用されたときにどのような制限がかかるのか、制限がかかるようにあった場合にその告知はどうするのか、といった問題に作家個人個人が対処していくのはたいへんなことではないでしょうか。「JASRACに登録するとどうなるか」ということを細部にいたるまで把握している人はごく少数ではないかと思います。

 個人的には、「優れた作品に出会ったときに、その作家になにがしかの支払いをしたい」というときがあります。それが音楽作品であっても、3D、2Dのアニメーションであっても、科学的な実験であっても。そんなときに共通の支払い方法が持てるような、そんな仕組みができるといいなと思うのです。著作権使用料というスキームとは別個の。

 ユーザーのための団体としてMIAUが誕生したように、初音ミク(もしくはボーカロイド)作家協会が生まれるべき時が来ているのかもしれませんね。

 これについては、クリプトンの伊藤社長が「初音ミク、JASRAC登録」に対する公式見解の中で「出口」と表現したところに期待しています。

P.S. ドワンゴからの謝罪文でひとつ学んだこと。アーティスト名は「作家名+featuring初音ミク」にする。これがクリプトン側で要請したことらしい。でも、これだとプレイリストがバラけてしまうので、iTunesのスマートプレイリストで、アーティスト名に「初音ミク」を含む、と設定するといいでしょう。あ、自分の作品をピアプロにアップするとき、アーティスト名のところを「初音ミク」にしたままだったような気がするなあ。次回から気をつけることにしよう。と、無理矢理従来のCloseBoxっぽくiTunesティップスでまとめてみました。


追記:栗原さんによる「みくみく×JASRAC×ドワンゴ」問題に関する解説が登場しています。ぜひお読みください。
JASRACと信託契約を結ぶ場合の課題について

koya

 このブログのエントリー「初音ミク、JASRACデビュー」が発端となってかなり大きな騒ぎになってしまったわけですが、クリプトン・フューチャー・メディアの伊藤社長が鏡音リンの発売日についてのエントリーで、ユーザーからの質問に答える形でこの件に関してコメントされています。誤解のないよう、コメント全文を転載させていただきます。

こんばんは、クリプトン伊藤です。「みくみく~」のJASRAC登録の波紋が拡がってきましたので、説明責任を果たさせていただきます。

まず、私がこの事実を確認したのは、12/17(月)の午後、CloseBox and OpenPodからの記事でした。直ぐにドワンゴ・ミュージックパブリッシングという会社の連絡先を調べ、電話しましたが、担当者が不在のため折り返しの電話を待ちました。夕方5時半過ぎに連絡を戴きましたので、この件について説明を求めました。「何故JASRACに登録する必要があったんですか?」と。また、「アーティスト:初音ミク」という表記についての事前の相談はありませんでしたので、それに対する抗議です。

「初音ミク」という1つの音楽ソフトを通じて、才能あるクリエイターに正当な注目が集まることは大変喜ばしいことです。その様なクリエイターが多く育って、そして正当な対価を得られるようになることが、次のクリエイションを産むためには必ず必要です。しかし、現状の著作物利用料の分配の仕組みは、JASRACなどの仲介を得てはじめて実現するようです。例えばカラオケで「みくみく~」が配信されてますが、どれだけ歌われようが、JASRACなどの管理がなければ悲しいかな分配ゼロです。CGMの「入り口」として「ピアプロ」サイトを構築してますが、どうやら「出口」もしっかり用意せねばならない気がしてきました。

今回の件は、ドワンゴ社とも話し合う余地がありますので、弊社としても出来るだけ頑張ってみます。

 JASRACへの楽曲登録、特にアーティスト名としての「初音ミク」の使用についてクリプトンへの事前相談がなかったことは驚きですね。

 千を超えるオリジナル曲、2万5000人以上のクリエイターたちが住んでいる「巨大な井戸」から大海に泳ぎ出たときに不幸な目に遭わないような仕組みをぜひ考えだし、構築していただければと。

 伊藤社長が書かれているCGMの「出口」部分がどういうものになるかは分かりませんが、ピアプロを短期間でここまで育てた手腕に期待したいです。

関連記事:
初音ミク、JASRACデビュー
そろそろ初音ミクのライブを見たい
秋葉に棲む - みっくみくがJASRACされた?!(続きというか訂正?)
みっくみくの信託状況。


§


 本当はこのエントリー、鏡音リンのデモソングに関するものにするつもりだったんですが……。速いパッセージでもいけそうなかんじで、やはりロックに向いてますね。8日後が楽しみですが、その前にミク曲をあげないとインパクトが薄れますね……。

追記1:ドワンゴ・ミュージックからの公式謝罪がありました。
「みくみく」JASRAC登録で「手違い」 ドワンゴ・ミュージックが謝罪

ただ、「ユーザー間での交流目的で使用する際にも使用料が発生してしまう場合がある」と認めているように、JASRACへの支払いは発生してしまうようですね。フルみっく伝染歌プレーヤーの「みくみく」削除判断は正しかったもようです。

追記2:追加記事書きました(2007-12-20)。
「初音ミク作家協会」が生まれるべきかも

追記3:栗原さんによる「みくみく×JASRAC×ドワンゴ」問題に関する解説が登場しています。ぜひお読みください。
JASRACと信託契約を結ぶ場合の課題について

koya

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松尾 公也

松尾 公也

Mac誕生前夜の1983年業界入り。
PC Magazine、PC WEEK、MacUserなどを経て、IT業界の裏道を歩みつつ現在に至る。

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