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決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

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ウェブサービスで起業する、というのは日本でも活発な動きになりつつありますが、エストニアでは国家がバックアップするベンチャー支援活動が行われていることを欧州版TechCrunchが報じています:

Estonian Accelerator Startup Wise Guys Announces First Startups (TechCrunch)

以前'The Internet of Elsewhere – The Emergent Effects of a Wired World'という本をご紹介したことがありましたが、何を隠そうエストニアといえばSkypeの生まれ故郷。小さいながらもICT技術の導入・発展に力が入れられており、オンライン閣議まで実現しているのだとか。上記記事で取り上げられているのは、エストニア政府やSkypeの元技術者の人々などが支援するStartup Wise Guysというベンチャー育成プログラムで、今回7つのチームを援助することが決定したそうです。

で、個人的に興味を引かれたのがこのサービス:

WeatherMe

ウェザーという単語が含められている通り、WeatherMeは基本的には天気予報サービスとなります。では何がユニークなのか。実はあらかじめ設定しておいた地域で、設定しておいた条件の気象になることが予測されると、それをメールでアラートしてくれるという機能が設けられています。雨を事前にアラートしてくれるといったサービスは既に存在していますが、WeatherMeでは非常に細かい設定が可能になっています:

WeatherMe

ご覧のように、風向きや風の強さ、角度、雨の強さといった条件設定が可能。またサービス解説を読むと、1キロメートル四方の精度で予報を管理しているとのこと。ということで非常に残念なのですが、明言はされていないものの、どうやら日本はサービス対象地域外のようです(まぁ当然ですよね)。実際にサービス対象の地域であれば、ご覧のように、過去の天候データも確認することができます:

WeatherMe2

なぜこんな細かい天候を確認できるサービスをつくったのか。実はTechCrunchの記事で、このように紹介されています:

Farmers today are not benefitting from farming science because it’s complicated. For example only 4% of farmers use some kind of an information system to determine what pesticide to use. They use guesstimates and research has shown that these decisions are not always optimal.

農家は農業科学の恩恵を受けられずにいる。それが非常に複雑なためだ。例えば使用する農薬の種類を決める際に、何らかの情報システムを利用している農家は全体の4%に過ぎない。多くの農家はカンに頼っているのだが、それが常に正解をもたらすものではないことが調査で明らかになっている。

そんな農家を支援するために、誰でも使えるウェブサービスを、という意図でつくられたのがWeatherMeとのこと。であればこれだけ細かい条件が指定できるのも納得です。また彼らは農家が簡単に使用できる作物管理システムも開発する予定とのこと。ビジネスモデルは確認できませんでしたが、仮に多くの農家が使用するサービスにできれば、農家からインプットされてくるデータを利用してより精度の高い天候/収穫高予測システムを構築することができるでしょう。それを有料サービスにつなげたり、あるいは農作物を買いたいという企業と農家をつなぐサービスなども考えられるかもしれません。

いま東京では、若いスタートアップ企業や起業家を志望する人々が集まり、韓国や台湾の起業家と交流しようといった動きが始まっています。WeatherMeの事例からも分かるように、たとえ遠く離れた国の事例であっても、自分たちの事業に参考になる知見が得られる状況が到来していると言えるでしょう。その意味で、シリコンバレーだけでなく、様々な地域のニュースにアンテナを張っておくことが思いがけない情報に出会うきっかけとなるのではないでしょうか。

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小林啓倫

小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

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