シロクマ日報:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) シロクマ日報

決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

« 2006年10月31日

2006年11月1日の投稿

2006年11月2日 »

今日の午後、とあるセミナーに出席してきたのですが、そこで面白い話を聞きました。国際配送サービスの FedEx が、顧客満足度を高めるためにこんな仕掛けをしたそうです:

調査の結果、顧客の中に"nervous shippers"(不安な出荷人)と言うべきタイプが存在していることを確認。彼らは「本当に着くのだろうか」という不安を常に感じており、梱包や書類記入などすべてを完璧に仕上げるにも関わらず、出荷した後(FedEx の係員が荷物を受け取った後)も不安をぬぐいきれないでいた。

FedEx の窓口ではそれまで、荷物を受け取ったらカウンターの後ろにおいてそのまま(後で担当者が荷物をより分け、しかるべき処理をする)にしていたが、それでは nervous shippers をより不安にさせるだけだと判断。そこで窓口の後ろにパーティションを置き、そこに「北米向け」「アジア向け」と書かれた投函口を用意した。荷物を受け取る際は、係員が宛先を丁寧に確認、「○○向けでございますね」と声に出しつつしかるべき投函口に入れる -- という工夫を行った。

しかしパーティションの裏側はというと、何の仕切りや箱もなし。つまり元のように選別されていない荷物が置かれている状態で、窓口の作業以外には何の変更も行わなかった。それでも nervous shippers は荷物の宛先が窓口で確認されたことに満足し、満足度は大きく向上した・・・

ちょっと長い説明になってしましましたが、要は「集配の流れは何も変えずに、ちゃんとやっているように見えるようにした」ということ(もともと荷物はキチンと届くような仕組みが構築されているわけです)。悪い表現をすれば、スタンドプレーを行ったというところでしょうか。しかしそのスタンドプレーが、重要な価値を生んだわけです。

最近読んだ記事で、ある消費者が「ダイソンの掃除機は、ちゃんとゴミが取れているのが見えて気持ちいい(ゴミがパックに入るタイプは捨てやすいけれど、ゴミが取れているという実感がない)」と語っていました。これもゴミが溜まるところを透明にしておく必要は無いわけで、一種のスタンドプレーと言えるでしょう。しかしここでも、そのプレーによって顧客満足が生まれています。

この2つの例は、「ちゃんと仕事しているように見せること」の重要性を示していると思います。もちろん最終的に、顧客が求める価値が本当に提供されていなければならない(FedEx ならキチンと荷物が届くことで、ダイソンならキチンとゴミが取れていること)わけですが。その前提さえあれば、「スタンドプレー」を積極的に追求することを考えてみても良いのではないでしょうか。

アキヒト

« 2006年10月31日

2006年11月1日の投稿

2006年11月2日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

小林啓倫

小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
akihito
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ