シロクマ日報:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) シロクマ日報

決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

« 2006年9月7日

2006年9月8日の投稿

2006年9月11日 »

以前、みずほ情報総研の吉川さんが「ソーシャルブックマークの衆愚化論争」についてエントリされていましたが、アメリカでも似た問題が起きています:

Digg村にトラブル発生(TechCrunch Japanese)

Digg については説明不要だと思いますが、上記のエントリでも解説されている通り、ユーザーの投票によって選ばれたニュース(もしくはブログのエントリ)へのURLをまとめた一種のポータルサイトです。ちょうどはてなブックマークで被ブックマーク数により記事の人気度を計れるように、Digg ではユーザーの投票数(この投票を"digg"と呼ぶ)でどの記事が注目を集めているかを把握できるようになっています。

ユーザーの投票で掲載されるニュースが決まるという点で、Digg は「民主的な」ニュースサイトだと捉えられています。しかし以前から「一部の人々によって掲載される記事がコントロールされている」という指摘がありました:

ソーシャルブックマーク社会学(Polar Bear Blog)

Digg で人気を集めた記事(へのリンク)を調べると、ごくわずかなユーザーの投稿によって占められているとのこと。今回の騒動では、さらに分析が進んで「一部のユーザーが手を組み、自分たちが投稿した記事に相互に投票するだけでなく、気に入らない記事に反対票を入れる(これを"bury" = 「埋める」と呼ぶ)という行動を取っているのではないか」と言われています。これに抗議した Top Digger (Digg に記事を投稿し、掲載される数の多いユーザー)たちが自分のユーザーアイコンを削除する(デフォルトに戻せば多少は目立たなくなるから?)という行動に出ており、図らずも彼らの連帯が証明される、という皮肉な事態になっています(参照:calacanis.com "digg top users protest (or, "one user, one vote--that's the rule)")。

日本では衆愚化、アメリカでは一種のスパム行為(SEO、と呼ぶべきか?)という違いはありますが、「注目すべきニュースをユーザー自身が決める」というシステムに疑問が提示されているわけです。これを防ぐ手段の1つとしては、上記の記事で吉川さんが主張されているように「不良な情報の流れ込みを防ぐこと」が考えられますが、「これではWeb2.0の参加型という原則には反してしまう」ことになります。また Digg はシステム面からの解決(ユーザーの投票に重み付けを行い、不正?行為を排除する)を考えているそうですが、Google vs. SEO の例を挙げるまでもなく、システムの裏をかこうという行動を止めることはできません。果たして、「みんなのニュースサイト」は幻想に過ぎないのでしょうか?

逆説的かもしれませんが、僕は逆に参加ユーザーが増えていくことによって、こうした問題への解決策が見えてくるのではないかと思います。仮説ですが、現在 SBM や Digg 型のニュースサイトのユーザー(閲覧しているだけの人ではなく、ブックマーク登録や投票・投稿も積極的に行う人)が相対的に小さいために、一部のユーザーが結託してサービスをコントロールしたり、一部のセグメントにウケるコンテンツがクローズアップされてしまうという側面があるのではないでしょうか。楽観的、と言われるのを承知の上で、とりあえずここでは「さらなる参加が道を拓く」と述べてみたいと思います。

いずれにしても、現時点ではコレといった解決策はないというのが実情でしょう。しかし未来永劫に不可能だという話ではなく、Google が検索エンジンの分野で「100%ではないが日常的に使える仕組み」を生み出すことに成功したように、いつかこの分野でも成功するサービスが現れると思います。それが「第2の Google」的な存在として、生活に欠かせないインフラのようなサービスになる可能性もあると思うのですが、どうでしょうか。

アキヒト

« 2006年9月7日

2006年9月8日の投稿

2006年9月11日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

小林啓倫

小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
akihito
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ