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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

オンラインオークションでビンテージアンプを買う時の注意点

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アナログレコードを少しましな音で聴きたくなったので、先日、PRA-2000というDENONのプリアンプを某オンラインオークションで落札しました。

オーディオにあまり詳しくない方のために説明しておくと、アナログレコードの再生に欠かせないカートリッジ(トーンアームの先に付いている針の部分)では、DENONのDL-103が定番中の定番ということになっています。NHKが業務用で使っていた製品で、よいアンプで再生するとNHK FMそのまんまの音がします。

カートリッジにはいくつかの型があって、DL-103はMC型です。MC型カートリッジでレコードを再生するには普通のアンプだけではダメで、MC対応イコライザーというのが付いた機種でないといけません。あるいは別売りMC対応イコライザーを買ってこないといけません。
上述のPRA-2000は、このMC対応イコライザーが組み込まれたプリアンプとして定評があり、中古アンプ市場で安定した人気を誇っています。それを落札しました。
実は以前に一度入手して、2週間ぐらい手元に置いて聴いたことがあります。当時はアンプが何台もあったのと、アナログレコード再生に熱が入っていなかったので、売ってしまいました。それがアナログ熱がにわかに高まって再度入手となったわけです。

「美品です」という説明文句に引かれて入札しました。オークションの敵はあまり多くなくて、さほど競り合わずに、比較的安い値で落札できました。そして自宅に届きました。開けてみたらほんとに美品でした。
鳴らしてみたら、以前に少し手元に置いていたPRA-2000と同じ音がしました。(ただ厳密に言うと、コンデンサがへたっている風があり、低域に腰がない、なよっとした感じの音だなぁと思ったことは確か)

おぉ入手できたかと思いながら、2~3日の間、帰宅後に少し鳴らしてみていましたが、4日後にいきなり左の音が出なくなりました。
MC、MM双方のイコライザーの左側がダメになってしまい、うんともすんとも音が出ません。弱りました。

考えられるのは、輸送途中に部品がゆるんでしまい、それが到着後4日目で接触不良となって出たということです。1980年前後の古いアンプですからね。輸送途中にヘンな衝撃が加わっていると、それなりに出ます。

出品者には「大変よい品をどうもありがとうございました。たしかに美品でした」と評価を送ってしまった後です。どうしたものか。

正直に状況を記して、出品者に送りました。
何度かやりとりがあって、オンラインオークション会社が提携している日本郵便の担当者に来てもらって輸送状況を確認してもらうというプロセスがあり、彼らに非はないという判断が下されて、出品者と落札者の私との間で解決しなければならないということになりました。
一般的な製品の世界で言えば、到着後5日~7日以内の故障は、初期不良ですからね。そのことは、出品者の方もよく理解してくれました。

結局、私が都内のDENONの修理センターにPRA-2000を持ち込み、修理代を見積もってもらって、修理費が2万円を超えない範囲で折半ということになりました。
便で送れれば一番なのですが、また箱詰めして送ったりしているうちに、途中で衝撃が加わっておかしくならないとも限りません。自分で持ち込むのが一番。
とは言え、その修理センターが開いているのは平日だけで、仕事がある日に早めに家を出て9時のオープンに間に合わせて行き、見てもらうことが必要です。
その9時に修理センターに行くというのが、なかなかできない。このところ朝が動けない…。

長い話を書いてきましたが、何が言いたいかと言うと、ビンテージないしそれに準じるオーディオ製品のうち、特に重いもの(アンプ、アナログプレイヤー、CDプレイヤー、スピーカー)などは、経験から言って、個人間の売り買いはあまりお勧めできないということなのです。
過去にアンプだけで40台ぐらい売り買いしましたが、1割程度の確率で、何らかのトラブルが出ます。それも、出品者側は大丈夫だと思って送ったものが、こちらに到着してみるとおかしくなっているという類のトラブル。責任のありかが宙に浮いてしまうようなトラブルです。保障つきの便であれば、輸送会社でその故障に伴う負担を吸収してくれる場合がありますが、全部がぜんぶそうとは限らない。
結局、買った側が泣き寝入りになるのが普通です。
また、いったんトラブルが生じると、それに投入しなければならない時間が膨大になります。
 ・様々な機種をつなぎ替えながら行う故障箇所の特定。(どのような故障なのかを取引相手、運送会社にわかってもらうためには、客観的な記述が必要になります。そのために様々なチェックが必要になるわけ。)
 ・何通ものメールによる出品者との交渉。電話のやりとり。(相手が頑固な人だと、ここで打ち止めです)
 ・場合によっては箱詰めして返送。あるいは修理センターへ送付。あるいは持ち込み。(箱詰めもね、ものすごい大変なんです。やったことがある人はわかるだろうけれど)
 ・運送会社の保障を適用してもらう際には、土日に担当者に来てもらって故障の確認に付き合う…等々。

実にはんぱでない時間が必要になります。時給換算すると同じものが何台か買えてしまうぐらい、ということもあり得ます。

それらを勘案すると、3割程度高い値が付いているとしても、プロの中古取扱店舗で買った方がぜんぜんよいです。
経験から言って、オンラインオークションでビンテージ系アンプなどを入手した際に付く値は、中古オーディオショップが付けている値の2~3割引き止まりです。個人から買うからと言って、そう安くなるものではない。人気が安定している機種になると、しっかりとした相場ができていて、妙に安い値で入手することはできない状況になっています。市場メカニズムが働いているわけですね。

その2~3割のディスカウントによるメリットと、トラブル時に生じる有形無形の負担が持つデメリットとをてんびんにかけると、後者のデメリットの方ががぜん大きいです。何度も似たような経験をしてみて、今回そのような結論に達しました。

オークションでなければ絶対に入手できない稀有な機種がたまたま出ていて、どうしても欲しいということであれば、自宅に伺って、鳴っているのを確かめて、手渡しで引き取ってくるのが一番です。

でもやはり餅は餅屋で、プロのショップにはかなわないです。何かトラブルがあっても、責任をもって対応してくれますから。また、音が好みに合わなくて、他の機種と交換したい時などにも、相場で買い取ってもらえる可能性もあります。

オンラインオークションには向く品もあれば、向かない品もある、というごくごく普通の話でした。

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