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ガートナーが示す日本企業のデータ活用に関する現状

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ガートナージャパンは2025年1月23日、「日本企業におけるデータ活用に関する最新の調査結果」を発表しました。

ガートナーの調査によると、データ活用において全社的に十分な成果を得ていると回答した企業の割合は8%となり、2023年11月に実施された前回の調査から5ポイント増加しました。一方で、調査では89%の企業が一部または全社的に一定の成果を上げていることが示されています。

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出典:ガートナージャパン 2025.1.23

ガートナーのシニア ディレクター アナリストである一志達也氏は、次のように述べています。

今回の調査結果では、過去数年の調査でほぼ横ばいだった『全社的に十分な成果を得ている』と回答した企業が増加しています。一方で、依然として92%の企業が全社的な成果獲得に至っていないという課題も浮き彫りになっています。

目的や目標の明確化が成果獲得の鍵

今回の調査では、データ活用における取り組みの目的や目標が明確かどうかが成果にどのような影響を与えるかも分析しています。その結果、目的や目標を明確にしている企業が、より高い成果を上げていることが明らかになりました。

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全社的に十分な成果を得ていると回答した企業はすべて、目的や目標が明確であるとしています。逆に、目的や目標が不明確な企業ほど、取り組みから十分な成果を得られていないことが示されています。

一志氏はこの点について次のようにコメントしています。

今回の結果は、データ活用において組織として目的や目標を明確にすることが成功の鍵であることを示しています。目的や目標は掛け声だけにならず、現実的で共感を得られるものであるべきです。また、戦略(方針)や戦術(計画)が伴わなければ、関係者が同じ方向を向いて取り組むことは困難です。DXやAIの取り組みにおいても、成果を得るためには業務への適用が必要であり、現場の協力が不可欠です。

上位3つの課題:スキル不足、現場の理解と協力、業務適用

今回の調査では、取り組みの課題についても分析されました。上位3つの課題として挙げられたのは以下の通りです。

  1. スキル不足(28.3%)

  2. 現場の理解と協力の獲得(20.8%)

  3. 業務への適用(20.3%)

スキル不足は、日本国内外でGartnerが実施している他の調査でも一貫して取り組みの成功を妨げる要因として挙げられており、問い合わせ内容からもその深刻さがうかがえます。

一志氏は次のように述べています。

スキル不足は慢性的な課題ですが、学習に費やす時間とやる気があれば、費用をかけずに学べる環境が整っています。データ/アナリティクス(D&A)リーダーは、現場と共に学び、試し、経験を積む機会を創出することが重要です。また、現場が取り組みを『自分事』として受け止めるよう、関心を引き付け、理解と協力を得るために密なコミュニケーションと良好な関係構築が求められます。業務に適用されなければ成果を生み出すことはできません。成果を上げている企業は特別なことをしているわけではなく、本質を捉えて当たり前のことを愚直に行っているのです。

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