オルタナティブ・ブログ > 『ビジネス2.0』の視点 >

ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

2024年のデータセンターのM&Aは過去最高に。2025年も拡大の見込み

»

2024年のデータセンター関連M&A(合併・買収)が過去最高額を更新しました。Synergy Research Groupが2025年1月13日に公表したデータによると、2024年に成立したM&Aの総額は730億ドルに達し、2022年の520億ドルを大きく上回りました。12月末にはBlackstoneがAirTrunkを約160億ドルで買収し、新たな市場の節目となりました。

2023年の停滞から急回復したM&A市場

2022年にピークを迎えたデータセンターM&A市場は、2023年に総額260億ドルへと縮小しました。しかし2024年には、20億ドル以上の大型案件が増えたことで、市場は急回復しました。Synergy Research Groupによると、2021年以降減少傾向にあった「通常規模の取引(20億ドル未満)」も、2024年には前年比133%の増加を記録しました。

2024年の主な大型取引には、BlackstoneによるAirTrunk買収のほか、Vantage Data Centersへの2回の投資(総額92億ドル)、EMEA(欧州・中東・アフリカ)事業への31億ドルの追加投資が含まれます。また、EdgeConneXやDataBankにも大規模な資本が投じられました。

過去10年間で1,500件超のM&Aが成立、総額3,240億ドルに

2015年以降、データセンター関連のM&Aは累計1,514件に達し、総額3,240億ドルが動きました。この中には、企業買収だけでなく、少数株式投資、合弁事業への出資、個別データセンターの取得、株式売却、データセンター開発用地の取得などが含まれます。

2021年と2022年には、10億ドル以上の超大型案件が相次ぎました。代表的な事例として、CyrusOne、Switch、CoreSite、QTSの買収があり、これらの企業は世界のコロケーション市場で上位15社にランクインしています。

投資ファンドの資金流入がM&A市場を主導

データセンター業界のM&Aでは、投資ファンドの影響が拡大しています。2020年には、投資ファンドが関与するM&Aの割合は全体の54%でしたが、2021年には65%に増加し、それ以降は80〜90%の水準で推移しています。

Synergy Research Groupのチーフアナリスト、ジョン・ディンズデール氏は次のようにコメントしています。

クラウドサービス、ソーシャルネットワーキング、企業向け・消費者向けデジタルサービスの拡大により、データセンターの需要は急増しています。この流れは今後も続き、生成AI技術や関連サービスの普及がさらなる成長を後押しするでしょう。データセンター事業者は、大規模な設備投資を自社でまかなうのが難しく、投資ファンドが積極的に支援する状況が定着しています。

2025年もM&A市場は拡大を続ける見込み

2025年のM&A市場も活発な動きを見せています。現時点で70億ドル相当の取引が成立し、さらに150億ドル分の案件が合意済みですが、正式には成立していません。さらに、約200億ドルの潜在的な案件があり、企業は新たな資金調達や戦略的な方向性を模索しています。

このような背景を踏まえると、2025年もデータセンターM&A市場は拡大を続けると予想されます。

スクリーンショット 2025-02-08 11.33.07.png

出典:Synergy Research Group 2025.1.13

Comment(0)