国内生成AI市場、2028年には8,000億円規模に成長へ
IDC Japanは2024年11月14日、AI(人工知能)システム市場における産業分野別およびユースケース別の予測をまとめた「IDC Worldwide AI and Generative AI Spending Guide」を発表しました。
本レポートでは、AIおよび生成AI市場の成長動向が詳細に分析され、特に生成AI市場が急速に拡大する見通しが示されています。
国内AI市場の成長は、2024年に1兆円を突破
IDCの予測によると、2024年の国内AIシステム市場は前年比41.6%増の1兆763億円に達し、初めて1兆円を超える規模になる見込みです。同市場は2023年から2028年までの年間平均成長率(CAGR)が30.6%に達し、2028年には2兆8,911億円に拡大すると予測されています。生成AI市場においては、2024年に1,016億円の規模に達し、こちらも初めて1,000億円を超える見込みです。この市場はCAGRが84.4%と非常に高い成長率を記録し、2028年には8,028億円に到達するとのことです。
生成AIの進化と多様なユースケース
生成AIは2022年後半以降、ビジネス分野での活用が急速に進展しています。IDCでは、生成AIが要約や翻訳といった一般的なオフィス業務だけでなく、目的特化型アプリケーションやエンターテインメント分野での音声・画像生成など、幅広い分野で活用されると予測しています。
IDCの調査では、生成AIに適用可能な42のユースケースを特定しています。短期的にはソフトウェア開発やセールスガイダンスが市場を牽引する一方で、リスク/コンプライアンス管理や詐欺分析、収入・支出管理などが長期的な成長を支える分野として注目されています。
これらのユースケースでは、コード生成や自然言語による調査分析などが含まれ、生成AIがビジネスプロセスの自動化を加速させる役割を果たすと期待されています。
生成AI市場の課題と期待
IDC JapanのSoftware/Service Solutionsシニアリサーチディレクターである眞鍋敬氏は、生成AIの導入に伴う課題について次のように述べています。
IT市場におけるAIのインパクトは急速に拡大しており、AIと人間が協働するソリューションが増加しています。しかし、コスト、正確性、セキュリティ、生成物の権利・倫理といった課題も顕在化しています。企業はAIの効果とリスクを慎重に評価し、適切なAIモデルを選択して活用を進めることが重要です。
生成AIの活用においては、単なる効率化にとどまらず、企業の競争力強化や新しい価値創出を支えるツールとしての役割が期待されています。中でも収益性向上や顧客体験の向上に直結する分野での生成AIの利用拡大が見込まれます。
国内市場におけるAI導入の進展
2024年の国内AI市場は、生成AIの普及によって大きな変革を遂げると予想されます。データ分析やリスク管理、顧客サービスといった分野での生成AIの実装が進む中、国内企業にとっては生成AIの活用が競争優位性を高める重要な要素となりつつあります。
IDCの予測からは、国内AI市場が今後数年間で急成長することを示すだけでなく、生成AIがどのようなユースケースで価値を提供し得るかという具体的な指針を提供しています。企業は生成AIの可能性を最大限に引き出す戦略を構築することで、次世代のデジタル変革をリードすることが期待されるところです。
出典:IDC Japan 2024.11